hayatouriの日記

はやとうり の独り言

親父から聞いた軍隊の話 2

 

穴掘り

 


とにかく穴掘りばっかりさせられた


頭のうえをB29が大編隊になって東京方面に向かっとるころ静岡で穴掘ってな


どんな穴っていうたら


山裾に相当大きな横穴ほんるんや


そこ山から切り出してきた木材を組んで


今から思たら子供だましやけど


ちょうど零戦が頭だけ出してるような模型を作るわけや


B29から見たらまだ零戦がおる!

 

と警戒させたいらしいけど、こんなもん田んぼのカカシと一緒やで


やれと言われたからやっとったけど、戦力の差はわしらでもわかったわ 

 

 


「落ちたB29」

 


ある時空でB29と零戦がやりあってたんやけど、零戦が体当たりしてB29が落ちてきたんやな。


大分離れとったけど見に行ったんや。


若いアメリカ兵の死体がさらされとってなあ。


その死体を通り掛かる人たちがみんな蹴り飛ばして行くんや。


落ちてるものを見ると、缶詰とか雑誌とかあって


こいつら空の上でこんなもん食ったり読んだりしたんやな。


結構なもんやなぁと思ったわ。


その死体も2日経った頃には、蹴り飛ばされるので頭の毛がなくなって服まで盗まれた。


もちろん缶詰も雑誌もみんな盗まれとった。


こっちも食いもんがないから一生懸命やもんな。

 

 

 


玉音放送の日

 


玉音放送の日やったなぁ


どうやら日本が戦争に負けたらしいとみんなが言い始めたんや


今まで殴られ続けた将校たちに復讐したる!


て言う気の荒い連中がおってな。


上官や将校をあちこち探し回ったが、もうすでに逃げとったわ。

 


これでようやく帰れる


そう思って皆帰り支度したんやけど、

 

後で将校とかが追いかけてきても大丈夫なように、

 

残ってあった銃や刀類は全部肥えだめに掘り込んできたんや。

 


もちろん自分たちは武装しとるけど。


それでみんな帰ろう帰ろうと駅に集合したんや。

 


でも汽車はいつ来るかわからんし、それまで駅におらんとあかん。


別の部隊来て「戻れ」と撃ち合いになるかもしれんということで


そこは軍隊や、自然と指揮命令系統ができて結構な数の駅守備隊ができたんや。


そうこうするうちに汽車がやってきて、それに乗ってなんとか家に帰ってきたんや。

 


でもそれからしばらくして軍隊から連絡が入って「戻ってこい」という話や。


結局部隊の解散命令が出されていないので命令の出し直しと言う事らしいけどな。


それでも身分は軍人やから仕方なしにもう一回元いたところに戻ったんや。

 

 


親父の話で思い出せるのはこれぐらいまでです。


今思えばもう少し詳しく話を聞いておけばよかったなぁと思うことばかりです。


子供に話しても頭で理解のできないことばかりと思ったのかもしれません。

 


幸運にも親父は内地で終戦を迎えました。


しかしこの戦争は15年間で日本人の軍人軍属などの戦死230万人。
 
民間人の国外での死亡30万人。
 
国内での空襲等による死者50万人以上。
 
合計310万人以上(63年の厚生省発表)の犠牲をもたらしました。


 
やはりいかなる理由があっても戦争は悲惨な結果しか生まれませんし、二度と繰り返してはならないと思います。