鵜飼秀徳 氏の記事をいろいろ読んでみました。
この方は1974年、京都市生まれ。成城大卒。新聞・雑誌記者を経て、2018年に独立。正覚寺(京都市右京区)第33世住職。ジャーナリスト兼僧侶の立場で「宗教と社会」をテーマに取材、執筆、講演などを続けています。
私も法事や仏壇の引っ越しなど、この間お寺さんとの関わりが多くなったのでお寺のことを少し知りたいと思うようになりました。
田舎のお寺なので檀家さんも年々少なくなっているはずです。
私の実家がある町では住職のいないお寺を別のお寺が管理しています。
今回のブログでは鵜飼さんの研究を紹介しながらお寺の未来について考えてみたいと思います。
そもそも日本にはどれだけのお寺があるのでしょうか?
①末寺1万4593カ寺を抱えています。
③さらに真宗大谷派が8624カ寺、
④浄土宗7008カ寺、
⑤日蓮宗5138カ寺と続きます。
多くの教団を生み、「日本仏教の母山」として知られる天台宗は意外に少なく3323カ寺にとどまっています。
ちなみに著名な寺院でいえば、
聖徳太子がひらいた奈良の法隆寺は聖徳宗というマイナーな宗派だそうです。
戦後の「神々のラッシュアワー」(憲法により信仰の自由が確立された)の時代に、法相宗から独立しました。聖徳宗傘下の寺院は24カ寺しかありません。
京都の観光名所、清水寺も戦後、法相宗から1965(昭和40)年に独立し、北法相宗を名乗りました。
包括する寺院はわずか8カ寺だそうです。
清水寺は日本でも最も古い宗派の一群、南都六宗を起源にもつとはいえ、実は新しい包括宗教法人傘下なのです。
さらに大仏で知られる東大寺は南都六宗のひとつ華厳宗を受け継いでおり、同宗は108カ寺。
鑑真がひらいた唐招提寺を総本山にもつ律宗は、現在28カ寺。
唐招提寺の知名度は高いが、教団の規模はかなり小規模です。
著名なお寺でもこうした小規模教団のうち、地方都市に末寺が多く分布している教団は将来的に存続が危ぶまれています。
数千カ寺もの末寺を抱える大教団傘下の寺院であれば、仮に無住(住職不在)化したとしても近隣の同門寺院の住職が兼務し、護持することは可能です。
しかし空き寺を兼務する同門寺院が近隣にない小規模教団の場合、「空き寺=廃寺」となる可能性が大きいのです。
地方の人口減少が加速すれば、無住寺院(空き寺)が増えるのは必然です。
鵜飼さんは2040年には現在の全国7万7000カ寺が5万カ寺ほどに減少する可能性があると、指摘しています。
さらに小規模教団は勢力をどんどん失っていくといいます。
ある時点で、
浄土系なら大手の浄土宗や浄土真宗本願寺派など、
密教系なら真言宗などに、
臨済系なら最大派閥の臨済宗妙心寺派などに
「合併・吸収」されていくと予想しています。
伝統仏教教団で将来的にも安泰なのは
①曹洞宗、
②浄土真宗本願寺派、
③真宗大谷派、
④浄土宗、
⑤日蓮宗、
⑥高野山真言宗、
⑦臨済宗妙心寺派、
⑧天台宗、
⑨真言宗智山派、
⑩真言宗豊山派
の10宗派くらいになるようです。
とはいえ、特に曹洞宗や高野山真言宗は過疎地に多くの末寺を抱えており、勢力の減退は否めないだろうと予想しています。
また、浄土真宗や臨済宗、真言宗、日蓮宗はセクトが細かく分かれています。
参考までに臨済系に例を取れば、以下のように細かい派に分かれています。
【臨済宗】妙心寺派3341カ寺、建長寺派407カ寺、円覚寺派210カ寺、南禅寺派424カ寺、方広寺派168カ寺、永源寺派129カ寺、佛通寺派51カ寺、東福寺派366カ寺、相国寺派111カ寺、建仁寺派69カ寺、天龍寺派102カ寺、向嶽寺派61カ寺、大徳寺派199カ寺、國泰寺派34カ寺、興聖寺派9カ寺
こうなってくると素人の私にはもはや理解できないような宗派の数になっています。
当然お寺の少ない派は弱い立場に追い込まれるでしょう。
つづく