消費税が「預かり金」ではない理由はちゃんとあるのです。
消費税が導入された平成元年に、サラリーマンが東京と大阪で裁判を起こしました。
「免税事業者とか、簡易課税を採用し、税金をピンハネしている事業者がいる。自分の払った消費税が税務署・国家に入っていない。これは恣意的な徴税を禁止した憲法84条違反、同法29条の国民の財産権を侵害するもので、欠陥税制であり違法だ。損賠賠償せよ」との出張でした。
その裁判の判決が90年に、東京地裁(3月26日)と大阪地裁(11月26日)(注1)でありました。
判決は「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない」
「(消費税の)徴収義務者が事業者であるとは解されない。したがって、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」。
いかにも裁判所的な表現になっていますが結論はこうです。
つまり、消費税は対価=物価の一部であり、「預り金」ではないと判決ではっきり言っています。
この判決は控訴しなかったことで確定しました。
こう主張したのは、ほかでもない税務署側、国側なのです。
ですから売り上げが1000万円に満たない中小零細事業者に「預かり金」として「納税」を押し付ける法的な根拠がないのです。
もっと簡単に言えば、事業者は単に法律に基づいて、売った金額の一部分を消費税だったことにしなければならない、というのが消費税の仕組みなのです。
日本には約50種類もの税金があります。
他にも免税点の制度がありますが、「益税」だの「ネコババ」だのと責める声が出るのは消費税だけしかありません。
前回のブログで述べましたが、免税点や簡易課税制度があるのは、そもそも経営が苦しかったり、消費税の実務が煩雑すぎる中小零細事業者を保護する観点からなのです。
消費税の問題点はたくさんあります。
その一つをご紹介したいと思います。
消費税は別名「輸出企業への補助金」とも呼ばれています。
例えば国内で生産した自動車を海外で販売した場合、部品の調達等に消費税を払っていますが海外では販売価格にわが国の消費税を上乗せすることはできません。
理由は、輸出売り上げに限り0%という超軽減税率を使うのです。
信じられますか?0%ですよ!!
輸出企業が納める消費税の計算は、売り上げの消費税(輸出売上高×0%)から仕入れ等に含まれている消費税分を差し引く仕組みです。
そして消費税は売り上げにかかる消費税より、仕入れに掛かった消費税が多い場合、その差額が「損失」として還付される仕組みになっています。
輸出大企業の場合、売り上げ高に0%の税額ですから、その仕入れの消費税分が全額還付金としてもらえることになるのです。
湖東税理士が推計すると、日本での自動車などの輸出大企業に毎年1兆2000億円を超える莫大な輸出還付金が支払われています。
簡単に言えば、輸出大企業は結果的に「消費税を払っていない」ことになります。
そしてそれは当然税収の減少となって現れます。
ここに面白い資料があります。
輸出大企業の本社のある税務署は消費税がなんと赤字なのです。
結局、私たち国民が納める消費税や税金が、この赤字の補填にまわっているのです。
どうですか?
なんだかおかしいと思いませんか?
消費税にこんな裏側が隠されているということをぜひ覚えておいていただけたらと思います。