「国の安全保障」という言葉がロシアのウクライナへの侵略のあとよく使われるようになりました。
私たちも考えなければいけないのは「安全保障」は何も軍事力だけに限らないということです。
それを考える上で1つの説があります。
経済評論家の三橋貴明氏によれば「国家の階層」は次のように区分できるといいます。
第5層 国民の生活、経済活動
第4層 それ以外の産業
第3層 ソフトウェア的インフラ
(農業、医療、教育、防衛、行政、建設、ライフラインなど)
第2層 インフラストラクチャー
(道路、橋梁、トンネル、送電網、交通網など)
第1層 国土(領土、領海、領空)
これは第1層から第5層へ積み上がる国家の階層のモデルです。
第3層のソフトウェア的インフラが安全保障に非常に関連していると三橋氏はいいます。
第3層は、私たちが生活する上において、最低これだけの事が確保できないと生きていくことができない内容のものです。
例えばスマホを買わなくても生きて行けますが、農業が壊滅した場合私たちは生きていくことができません。
ついでに少し食料自給率のお話をしてみたいと思います。
コロナパンデミックの中で農業の現場では生産物の需要が削減し、一方で在庫が膨らんでいます。
ところが政府は国内産が過剰な米を77万トンも輸入し、2021年末に5000トンの牛乳廃棄問題が発生した乳製品でも、国内生乳生産量643万トンに対し生乳換算で499万トンの輸入を続けています。
日本は食料の63% (カロリーベース)を海外に依存していますがこれは非常に危険です。
01〜02年にブッシュ大統領(当時)は次のように演説しています。
「アメリカが偉大なのは、食料自給しているということだ。その事は国の安全保障上の重大事である」
「人々を養うのに十分な食物を育てられない国を想像できようか。そんな国は国際的圧力に従属させられた国であり、危険にさらされた国家なのだ」
現在自給率の低い麦や大豆などを原料とする食品の値上がりが相次いでいます。
コロナ禍は世界的に食糧価格の高騰を引き起こして、食料輸出主要20カ国が、輸出禁止や制限を打ち出すなど、食料を買いたくても買えない事態が進行中なのです。
食料安全保障が崩壊することは絶対に避けなければなりません。
だからこれまではわが国も「規制」をかけて農業を守ってきたのです。
教育を考えてみましょう。
もちろん子供たちの成長を促し、学力をつける目的もあります。
他方、言語・文化・歴史を学び、共同体意識や共同体としての基盤、同胞意識というようなものを育んで行く大事な内容もあります。
なのでこの分野は公的に支えることが必要なのです。
例えば外国資本、仮に中国資本が日本の教育を手に入れてしまえばどうなるでしょうか?
想像しただけで恐ろしいですよね。
つづく