オミクロン株の脅威がやや下火になったとはいえまだまだ感染が続いています。
一部の報道ではこのまま感染者の高止まりが続くのではないかとも言われています。
しかしながら不幸中の幸いで、日本の死亡者の数は世界的に見てもまだまだ少ない方だといえます。
京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授も、日本特有の要因があるのではないかと見解を示しています。
山中教授は「マスク着用や毎日の入浴等の高い衛生意識」「日本人の遺伝的要因」「BCG接種など何らかの公衆衛生政策の影響」など8つのファクターXの候補案をあげています。
これに対し作家の伊沢元彦氏は、日本人の宗教観が大きく作用しているのではないかと考えています。
以前私のブログでも「手洗い」の大切さを発見したオーストリアの医師が不遇な最期を遂げたことをご紹介しました。
すなわち歴史的に「手洗い」が西洋においてはさほど重視されなかったという証明でもあります。
確かに外国人に比べ日本人はよく手洗い、うがいをし、毎日のように入浴をしています。
外国人から見れば「なぜ、そこまでする?」と疑問のようです。
伊沢氏によれば、日本人が行うこれらの行為には、古来の宗教観が深く根ざしているらしいのです。
その古来の宗教観とは、「神道」です。
神道と聞いてあまり良い感情を持たない人がいるかもしれません。
その理由は明治時代に展開された「国家神道」のイメージが強いからだと思われます。
勘違いしている人が多いのですが、実は「国家神道」は本来の神道とは別のものなのです。
そもそも国家神道は、キリスト教に強い原理を持つ西側諸国に対抗するため、従来の神道を強化させたものです。
江戸時代後期の国学者である本居宣長は神道における神様を「必ずしも人間でなくてもよく、普通では見られない極めて優れた特質を持っているもの」と述べています。
樹木であったり岩や滝や川なども神になることがあるのです。
皆さんご存知の通り「那智の滝」は滝自体が御神体になっています。
こうした神を祀るのが神道なのです。
それでは「祀る」(まつる)とはどういうことなのでしょうか。
一言で言えば神をたたえる儀式です。
例えば農業を司る神には豊作を願い、願いが成就すれば感謝の儀式を行うなど翌年の豊作を願って再び祀るのです。
そしてもう一つ神道に特徴的なものがあります。
つづく