hayatouriの日記

はやとうり の独り言

近江商人をご存知ですか? その4

昨日の続きです。

 

モラロジー(モラロジーとは、道徳科学の意で、モラル(道徳)とロジー(学問)からなる学術名称です)はこの2つを骨格とした科学として進展してきました。

 

廣池がモラロジーで展開する三方よしは、「自分よし」「相手よし」「第三者よし」です。


大野教授によると、近江商人三方よしの世間が、「買い手の背後に存在する他国の社会全体」を対象としているのに対して、廣池の「第三者」は、現代経営のマルチステークホルダーにあたるといいます。

 

(問題解決に対し企業や消費者、投資家、労働者、NPOなど、社会の様々な立場にある組織や個人が、プロセスに参加し、学び、協力し、それぞれの役割を果たすことが不可欠です。

このような課題解決の鍵を握る組織や個人を“ステークホルダー”と呼びます)


とかく経営者のなかには、三方よしの関係性を自社、顧客、株主の「三方」で構成する三角形で理解する人もいるが、実はそうでは無いのです。!(^^)!


大野教授はその解釈論は別として、三方よしは、十分現代にも通じる理念である言い、とくに三方よしの考え方で優れているのは、「世間よし」、あるいは「第三者よし」だと指摘します。


現代のサプライチェーンでは、とかく顧客重視経営が見られます。

 

顧客満足度を高める経営は、世間や第三者に過度な負担を押し付けかねません。
 
たとえば、良い品物を安く売ることが、仕入先や社員を苦しめることになり、結果品質を損ね、収益を損ねることに繋がっていけば、地域社会は潤わず、疲弊していきます。


とかく現代は目に見えやすい直接的な取引や短期の時間軸でビジネスを捉えがちです。

 

地球や社会がサステイナブルな発展を目指すのであれば、見えにくいステークホルダーをしっかり捉え、長時間の時間軸で事業を考える必要があります。
 

事実、見えにくいステークホルダーを捉え、長い時間軸で三方よしの考えを実践し、生き残ってきた企業は多くあります。
 
たとえば総合商社の伊藤忠と丸紅を起こした伊藤忠兵衛はその代表と言われています。
 
とくに伊藤忠は同じ伊藤忠兵衛からの暖簾を分けた丸紅より先に海外展開をして総合商社の足場を固めます。

 

そして海外でも三方よしの考えを貫き、事業を拡大しました。
 
伊藤忠ではいまも琵琶湖畔で新人研修が行われ、社会奉仕などを通じて三方よしの精神を学んでいます。


近江商人を先祖に持たない企業でも三方よしを取り入れ、経営危機を乗り切った老舗企業もあります。


創業120年を迎える京都にある計測機器メーカー「イシダ」その1社です。

 

 

つづく