昨日の続きです。
お祝いの席の定番となっている魚といえば「鯛」ですが、鰹も「縁起物」として重宝されています。
天文6年(1537年)、武将である北条氏綱(ほうじょう うじつな)が釣りの見物をしていた際、一匹の鰹が氏綱の船に飛び込んできました。
これを見た氏綱は「戦に勝つ魚が舞い込んだ」と大喜びし、すぐさま出兵した戦では実際に勝利をおさめました。
この話はたちまち広がり、「勝魚」という縁起の良い魚として知られるようになりました。
また、結婚式の引き出物の定番となっているのは「鰹節」です。
なぜ結婚式で用いられるようになったかをご存じですか?
それは鰹節の作り方に秘密が隠されています。
鰹節は、鰹を3枚に下ろしたその半身を、さらに2枚に下ろすことで作られます。
鰹の背側の身で作られるのを「雄節」と呼びます。
腹側の身で作られるのを「雌節」とよびます。
この2種類の「節」が出来上がります。
その「雄節」と「雌節」は、ぴったりと合わさる形になっていることから、縁起が良い「夫婦の象徴」として、結婚式でふるまわれるようになったといわれています。
鰹は3月〜6月にかけて、餌を求めて九州から黒潮にのって北上します。
この群れは北海道までたどり着きます。
その後9月〜11月にかけて、産卵に備えて南下するという生態があります。
北上している最中の3月頃に水揚げされた鰹を「初鰹」、その後の鰹は「上り鰹」と呼ばれます。
南下中に水揚げされた鰹は「戻り鰹」と呼ばれます。
初鰹と上り鰹は赤身の部分が多く、爽やかでさっぱりとした味わいが特徴です。
一方、餌をたっぷり食べている戻り鰹は、魚体も一段と大きく、脂がのっていて、こってりと濃厚な味わいが特徴です。
いかがでしたか?
旬の食材を使った食事をすると、普段の生活で見逃しやすい季節の変化を味覚で感じることができます。
食材を一番おいしく食べられる旬の時期をのがすのはもったいないと思いませんか。
旬の鰹を食べて、自然のめぐみや移りゆく四季の変化を感じてみてはいかがでしょうか。