昨日の続きです。
このような投票の義務化は「強制投票制」とも呼ばれ、日本が採用している「任意投票制」とよく比較されます。
憲法学者の間でも強制投票制は可能と言う見解と許されないという見解に分かれています。
可能とする見解の背景にあるのは、選挙権には2つの側面があるとの考え方です。
「権利」であると言う側面に加えて、国会や地方の議員、地方公共団体の首長を選ぶ公務としての「義務」だという性格もあります。
後者から投票の強制も許されると言う結論が導かれています。
一方、強制は認められないとする立場の人はこのように考えます。
投票をするかどうかは有権者の内心の自由である事が強調されています。
思想、良心の自由を保障した憲法19条などを根拠に「棄権の自由」があるとする考え方もあります。
ただ2009年からスタートした裁判員制度でも、私たちは新しい義務も引き受けています。
裁判員法には呼び出しを受けた裁判員候補者は出頭しなければならないと明記されています。
刑事裁判への参加は義務化されているのです。
裁判員の仕事は、公判で出た根拠を客観的に検討し、事実を認定することです。
これは内心とは直接関わりません。
強制投票も、投票先を押し付けるわけではありません。
棄権したければ白票投じることができます。
裁判員の義務は認められ、投票の義務は認められないっていうのは辻褄が合わないというのも1つの意見です。
朝日新聞がアンケート調査を行いました。
「日本で投票義務にするかどうかが具体的に議論になったとしたら、賛成ですか、それとも反対ですか」の問いに対して、賛成が115回答と反対が42回答でした。
回答数が少ないのは、単なるアンケートではなく具体的な意見を求められる調査だったからです。
大きな傾向として
①たくさんの人がどのように行けば、それだけ民を反映するになるから
②人々が日ごろから政治に関心を持つようになるから
③政治家が緊張感を持って政治をするようになるから
④社会的な少数者が投票することで格差の是正につながるから
⑤投票率が上がるから
と言うような回答が得られました。
つづく