昨日の続きです。
「耳たぶのシワ」は医学的にはフランク兆候と呼ばれます。
この"フランク徴候"はその名の通り、1974年にこの徴候を報告した米国の呼吸器科医フランク先生の名前にちなんでいます。
では「耳たぶのシワ」がどうして心臓疾患につながるのか調べてみました。
ここに1つの記録があります。
一見何ということのない耳たぶのシワは、実は前述のようにフランク医師により50年近くも前に冠動脈疾患(CAD)の危険因子ではないかと報告されているのです。
しかし、肥満や人種、老化との関連に過ぎないとの説もあり、その臨床的意義は統一されてはいませんが・・・
東京都済生会中央病院循環器科の長谷川祐氏らは、自院症例の耳たぶの皺とCADとの関連を分析しました。
第57回日本心臓病学会学術集会で発表されました。
長谷川氏らは、2008年6~7月の2カ月間に同院で負荷心筋シンチグラフィー(MPI)を施行した98例中、新規のCAD疑い患者とされた連続68例(平均年齢69.2歳、男性68%)を対象に、耳たぶの皺とCADの関連を検討しました。
耳たぶの皺は、左右別に、「皺なし」(皺を全く認めない)
「細い線」(線のような皺)
「浅い皺」(はっきりした皺だが、深くない)
「深い皺」(耳たぶが2つに分かれて見えるような深い皺)の4段階に分類しました。
CADについては、MPIで明らかな再分布・欠損を認めた26症例(38%)をCADありと判定しました。
結論から言えば両耳にシワのない人のCADは非常に少ないという反面的なデータが発表されました。
このように心臓疾患と「耳たぶのシワ」は医学的にも関連付けることができるのです。
特に「耳たぶの深いシワ」がみられる人は、しわがない人に比べて約3倍心臓疾患で亡くなりやすいというのです。
これはアメリカのシカゴ大学で実際に8年間研究された結果だそうです。
さて「耳たぶのシワ」はなぜできるのでしょうか?
柔らかい耳たぶには脂肪組織が多く存在します。
また耳たぶは元々血管が少ない部位です。(→なのでピアスの穴を開けても出血しにくい)
しかし動脈硬化が進行して血行が悪くなると脂肪組織は委縮し耳たぶの表面に深いしわが生じるのだそうです。
末梢の細い動脈と心臓の冠動脈のように太い血管では血管の構造が違います。
直接比較はできないとは思いますが、少なくとも統計的にはそういった傾向があるようです。
つまり動脈硬化によって血流が減った場合、耳たぶはその影響を受けやすいということになります。
特に高血圧や糖尿病、高脂血症などの持病があり、耳たぶに深いしわがある方は一度主治医に相談してみてはいかがでしょうか。
心疾患の早期発見につながるかもしれません。
『ダックス医』さんが投稿しているように、肉眼で簡単に確認できますし、現実に心臓疾患が発見されてもいます。
今夜あたりじっくりと身近な人たちの耳たぶを観察してみてはいかがでしょうか?