昨日の続きです。
ドイツと違い日本は自動運転車に事前プログラミングを排除しないという立場であるらしいとは昨日書かせていただきました。
ではメーカーが自動運転車のプログラミングを手掛ける際、トロッコ問題への対応としてどのような対応が必要になるでしょうか。
▽特別なプログラミングをしない
▽人数が少ない方を犠牲にするプログラミングを施す―など、幾つかの選択肢が考えられます。
法学が専門の樋笠代表は、もし指針が何もない状態で事故が起き、犠牲者が出れば、プログラマーが罪に問われる可能性があると指摘しています。
刑法37条の緊急避難の規定は、「現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない」と定めています。
罪に問われないよう緊急避難を成立させるには、「やむを得ずした行為」でなければならないのです。
プログラマーが別のプログラミングを施すこともできたと判断されれば、犯罪として成り立ちかねないのだと述べています。
トロッコ問題に対し業界全体で指針があれば、「他に取るべき行動がなかった」(樋笠代表)と解釈し、プログラマーの責任は回避できるといいます。
樋笠代表は「あえてどちらかの人をひくプログラミングをすれば、故意犯として殺人に問われる可能性もゼロではない。そんなことを考えていては、誰もアルゴリズムを組めなくなる」と話し、プログラマーやメーカーを守るためにも、技術の進歩のためにも、指針の必要性を訴えています。
ホンダのある技術者は「(基準を)過度に求められると、がんじがらめになってしまい普及拡大のバランスが崩れる」と心配しています。
一方、「何の制約もないと、無限に可能性について配慮し続けることになる」ため、前提となる指針は重要と説明しています。
トヨタ自動車の自動運転技術の開発や実用化を担う子会社「ウーブン・コア」の田中伸一郎氏も、「作り手の観点から、どのような考えに基づいてプロセスを定めればいいのか、倫理課題を解決する必要がある」と語っています。
今年4月で、自動運転の5段階の技術区分で上から2番目となる「レベル4」の公道走行を許可する改正道交法が成立し、特定の地域であれば運転者がいない完全自動運転が可能となります。
自動運転については来年5月までに施行される予定です。
いよいよ無人自動運転車の実用化が目前に迫っています。
つづく