hayatouriの日記

はやとうり の独り言

『トロッコ問題』について考える その4

昨日の続きです。

 

現状の規格では自動運転車も、人間の運転手を想定した一般の交通ルールを順守することが求められています。

ロッコ問題が生じる場面で歩道に乗り上げて緊急回避することは認められていません。

技術面での課題もあり、自動運転車固有の交通ルールに関する議論はまだまだこれからといったところです。


研究会の岩月泰頼弁護士(名古屋大客員准教授)は「指針を勝手にメーカー側が作るわけにもいかない。社会受容性と表裏の問題だ」と話しています。

 

交通安全環境研究所の河合英直氏は一般の自動車が多数の死者を出すにもかかわらず普及している点を例に挙げ、「社会はそれを受容している状況だ」と説明します。

 

自動運転車も同様に、「便利さや危険性などを踏まえ、正しく伝えて、正しく理解してもらった上で、社会受容性を熟成していく必要がある」と説明します。


経済産業省は、自動運転に対する社会受容性の向上を目的としたイベントの開催や、アンケート調査に取り組む予定です。

 

国土交通省とともに「自動走行ビジネス検討会」を設置し、警察庁総務省などとも実用化に向けた検討を進めています。

 

それでも自動運転に特化した公的な指針の策定について、国交省の担当者は「まだ時機ではない」と話し慎重な姿勢を崩していません。

 

社会に十分に受け入れられている段階になく、規制が増えれば技術開発の進捗(しんちょく)を妨げる可能性もあるからです。


人口が減り、高齢化の波が押し寄せる日本にとって、自動運転車は地域の足としての役割にも大きな期待がわかっています。

 

レベル4の車両は、トヨタの自動運転バス「イー・パレット」などが走行を実現させており、もはや遠い未来の話ではありません。

 

今まさに和歌山県太地町が8月1日から、小型の電動カートに町民らを乗せ、町を周回する自動運転サービスの実証実験を始めています。

 

車の運転ができない高齢者らの移動手段を確保するためで、県内初の取り組みだといいます。

 

2か月間で安全性や課題を検証した後、11月からの本格運行を目指しています。

 

今後このような取り組みを進める自治体が増えてくると考えられます。

その前に議論しておかなければならない課題も多く残されています。

 

勝手に動く不気味な乗り物としてではなく、多くの人の便利をかなえる乗り物として広く受け入れられるよう、技術開発と並行し、分野を超えた課題にも議論を重ねてほしいものです。