昨日の続きです。
つまりは心身の病気、リストラ、親の介護のいずれかの理由で仕事を辞める人も増えるでしょう。
リストラを機に離婚を切り出される例もあるはずです。
彼らが追い込まれる理由を、大西氏はこう言います。
・・・そういう人は、自分がリストラされたり、熟年離婚せざるをえなくなったりしたとき、“恥”だと感じて周囲や友人に言い出せません。
20代、30代ならともかく、40代や50代で今までの不自由のない生活からグレードを下げなくてはならなくなっても、周囲に同じような境遇の人はおらず、話しづらい。
それを引け目に感じ、友達づきあいも減ってしまうのです。
いざ転職先を見つけても、20代や30代の若者が上司ということが多く、孤立を深め、精神的に病んでしまったり、相談できないまま、間違った選択肢を選んでしまったりするのです・・・
ここで老後破産に陥った3例を取り上げたいと思います。
ある60代の男性は、元々は一般企業に勤め、年収500万円ほどでしたが、50歳のころに母親が認知症を患い、介護に専念するために退職しました。
しかし再就職しようにも、50代では条件に見合う仕事は見つからず、介護のストレスも溜まって鬱病になり、生活保護を受けています。
介護つきマンションや老人ホームを探せば、仕事を辞めずに済んだはずですが、それでも自宅介護を選びました。
“親の面倒は子が看る”という、日本独特の価値観があったからです。
次はある50代の男性です。
40代でリストラに遭って離婚を切り出され、持ち家と子供は妻に渡し、自分は賃貸アパートに一人暮らしとなりました。
そのうえ養育費を月々支払い、新しい仕事は見つかりません。
リストラされたのなら、財産は半々にするなど、もう少し自分の人生設計を考えるべきでした。
男性が財産分与の際に見栄を張り、ほとんどを妻子に渡してしまったのです。
ある女性は、40代のころ母親の介護のために仕事を辞めました。
母親が亡くなったときには自分が50歳を超えていて、再就職もうまくできませんでした。
それでも、老人ホームに入れることだけは“絶対に嫌だった”といいます。
結局、母親が亡くなると都営住宅から強制退去させられてしまい、生活保護を申請することになりました。
つづく