ここからは私の不思議体験です。
それは思い起こせばもう20年以上前になるでしょうか。
私を小さい頃から大事にしてくれた女性保健師さんがいました。
本当に生まれてからすぐに関わっていただきました。
小学校に入るまで私はその保健師さん(私はおばちゃんと呼んでいました)とお母さん(おばあちゃんと呼んでいました)と一緒に暮らしていたような関係でした。
これには私の家庭の事情もあったのですが、実際の「育ての親」といっても間違いないような人でした。
当時は0歳児保育などもなく、私の家のように祖父母もなく共働きの場合、「子守さん」に子供を預けて仕事するのが普通でした。
それは親戚のおばさんであったり、近所のおばあさんであったりしたわけです。
私の場合はたまたまこの保健師さんのおうちに預けられたのです。
彼女は結婚はしていなかったのですが保健師という仕事柄、広い交友関係がありとても明るい活発な方でした。
私は小さい頃からこの「おばちゃん」と「おばあちゃん」が大好きでした。
住んでいる街が違いましたので、家に帰った小学校時代や中学校時代などはあまり会うこともできませんでした。
だけど長い休みになると必ず何日間か泊まりに行っていました。
それは本当に楽しみでした。
高校になると同じ街の高校に通いましたので、期末テストや中間テストが終わって電車までの時間がある時などは時々お邪魔させていただきました。
まぁこんな経過のある方なのですが・・
そこから一気に30年ほど時間が経ちます。
大阪で鍼灸の勉強をしていた当時、夏休みにはこちらの地元に帰ってきました。
社会人になってお金を貯めてから鍼灸の専門学校に行ったので、入学時は30代半ばでした。
ある日帰省して、車に乗っていた時不意に「そうだ美術館に行こう」と思ってしまったのです。
そのことが何を意味するのかも分かりません。
そもそも美術館で何の展覧会をしているのかも知らなかったのです。
予想通り美術館の駐車場はガラガラで車は1台しか停まっていませんでした。
本当に人がいない美術館っていうのは独特の雰囲気です。
チケットを買い、近いところから絵を見始めました。
何やら日本画の展示をしていたと思います。
そうすると横から私の名前を呼ぶ声が聞こえます。
あっと思わず声に出してしまいました。
久しく会っていなかったあの「おばちゃん」でした。
つづく