昨日の続きです。
定員割れが大きいと、文部科学省から交付される補助金が減額されます。
学生が減れば定員を減らし、減らしても学生が集まらなければさらに定員を減らすという、まるで“イタチごっこ”のような悪循環が続いているのです。
しかもその傾向は私立で際立っており、もともと学費が安くて人気の国公立大学や一部を除き、収まる気配は感じられません。
それは文部科学省の学校基本調査をみれば明らかです。
音楽関係学科の学生数は
1990(平成2)年度約2万2000人
2000(平成12)年度約2万3000人
と、この10年はほぼ横ばいでしたが、7年後の2007(平成19)年度に2万人を割り込みます。
2020(令和2)年度には、約1万6000人と、この20年で3割以上も減少してしまいました。
この学生数の減少に対し、音大側は募集定員枠を減らして対応してきましたが、多くの私立音大は、減らした定員すら満たすことができずにいます。
その現実を示すのが日本私立学校振興.共済事業団の入学志願動向です。
音楽学部の入学定員充足率は2012(平成24)年度以降ずっと100%(定員)割れが続いています。
しかも9割未満の大幅定員割れなのです。
2020(令和2)年度になって一部音大の募集状況改善から久しぶりに93.2%と9割台を回復しましたが、それでも全学部平均102.6%には遠く及びません。
一部個別校の定員割れは、平均数字以上に深刻です。
2020年の定員充足率を見ると、2021年度から新規学生の募集を停止する上野学園大学の50.0%を筆頭に
平成音楽大学51.3%
東邦音楽大学59.0%
聖徳大学68.5%
エリザベト音楽大学72.8%
くらしき作陽大学75.7%
武蔵野音楽大学82.7%
国立音楽大学83.0%
となっており、これらは約770ある大学中、下位100校にランキングされます。
このままではさらなる募集定員の減少に追い込まれかねない情勢です。
つづく