昨日の続きです。
少子化が叫ばれていますが、大学進学率が大幅に上昇したことで、実は大学の学生数は大幅に増えています。
その中での音大学生数の大幅減少、これは一体どういうことでしょう。
何かが間違っているのでしょうか?
音楽大学はもともと企業就職が少ない傾向にあります
ですから演奏活動や音楽教室の講師をしながら、今では“ほぼ絶滅”した「家事手伝い」として卒業後数年を過ごすことが多く、結婚して家庭に入るのが一般的でした。
しかしこれは実家が裕福であることが前提です。
一般大学のように自立を促す方向で企業就職に力を入れて指導することがなかったのです。
多くの音大では、女性が活躍する社会となる中で、旧態依然のまま時代の変化に背を向けてきた可能性があります。
自立するには何も企業就職ばかりではなく、音楽家や音楽教育家、音楽関連ビジネスで生きる道もあるはずです。
それに必要な経営学や起業論、会計などのカリキュラムが加わることはなく、演奏教育ばかりが重視されてきました。
その結果、卒業後は「演奏活動」という名の1日1万円にも満たない単発のアルバイトと、飲食業などでのアルバイトの組み合わせでしばらくしのぐものの、30代には頼みのアルバイトもなくなり、困窮するケースがとても増えていきました。
そのため「音大は就職に不利」との考えが蔓延しました。
また「あそこの子はピアノが上手だったけど、今は家にいるみたい」「音大近くの居酒屋は卒業生のバイトで溢れている」などの口さがない評判がSNSなどで追い打ちをかけています。
これらが学生募集に大きなマイナスの影響を及ぼしたと考えられます。
2000年度から2019年度までの20年間で、女子大学生が約3割増えました。
音大も同様であれば、年に3万人近い入学生を受け入れられたはずでした。
ところが実際には逆に約4割もの大幅減少となり、8000人にまで減ってしまいました。
事ここに至ってすら就職に力を入れない多くの音大があります。
就職課やキャリアセンターがない(廃止した)、あるいはあってもほとんど機能せず、就職率が5割にも満たない音大が多く存在するのが実情なのです。
以上武蔵野音楽大学の大内孝夫さんのご意見を紹介してきました。
私たちの地域を考えても、小さな音楽教室やピアノ教室がたくさんあります。
もともと音楽関係の就職先はあまり多くなく、大学が大内さんが述べられている現状であれば学生の就職先は大変厳しいものになります。
芸術に救われたり、人生を豊かにしてもらった人々はずいぶん多いのではないかと思います。
その芸術や音楽を支える人たちをもっと国や大学等がサポートしなければ、日本はなんだか将来芸術が先細りしていく「さみしい国」になっていくような気がして仕方がありません。