昨日の続きです。
日本のようなメートル法を採用している国からアメリカに旅行に行くと、そこかしこで単位のややこしさに頭を抱えることになるようです。
スーパーに入れば食品のオンス表記に悩まされ、ビアバーに入ってパイントやクォートの表記を見て注文を決めあぐね、レンタカーに乗って道路標識やスピードメーターのマイル表記に戸惑う……。
わかります!
ていうか、私は海外へ行ったことないですが、コレの怖さもリアルにありですよね。
飛行機への手荷物機内持ち込み重量・サイズもポンドとインチで決まっているので、わざわざ換算する必要があります。
ともかくも、メートル法とヤードポンド法の単位が一緒くたになっていると、何かと問題や混乱が起きるものなのです。
多くの問題があるにもかかわらず、なぜアメリカはいまだにメートル法を採用しないのでしょうか。
大阪大学などで教鞭もとっているアメリカ大統領研究者、西川秀和氏によれば、どうやらアメリカの国としての「意地」に原因があるようです。
「意地」なんですか?
メートル法が発足した1790年当時に後のアメリカ大統領トーマス・ジェファーソンでした。
彼は実はアメリカ発の単位系を作り、これを世界標準にしようとしていました。
これには2つの理由がありました。
一つは、ジェファーソンがメートル法よりも自分の考えた単位系の方が、国際的に統一しやすいと考えていたことです。
もう一つはアメリカが単位系の基準を握れなくなった場合、正確な計量のためには当時の有力国のフランスに依存しなければならないことでした。
それから約230年経ち、もはやメートル法はほぼ世界を統一しました。
ジェファーソンの考えた単位系でなくとも、国際的な統一は可能だったわけです。
残っているのは「アメリカが単位系の基準を握りたい」という国としての意地の部分だけです。
このことからアメリカがいまだにメートル法を採用していないのは、どうやら意地の問題らしいと考えられるのです。
「意地だけの問題ならさっさとメートル法に切り替えればいいのに」と思ってしまいますが、なかなかそうもいかないようです。
例えばアメリカの「計測の自由」にまつわる議論があります。
これは「『メートル法を使え』と強制するのは、国民の計測の自由を侵害する行為だ」というものです。
だから「ヤードポンド法を使ってもいい」という状況は維持するべきだというのです。
銃規制の問題なんかもそうですが、銃規制推進派と反対派が水と油のように交わることがありません。
なんだかアメリカらしいと言えばそうともいえます。
つづく