hayatouriの日記

はやとうり の独り言

どうして? 皆さん違和感ありません? インチとフィート その4



前回の続きです。

 

例えば「計測の自由」にまつわる議論があります。


これは「『メートル法を使え』と強制するのは、国民の計測の自由を侵害する行為だ」という考えです。

 

だから「ヤードポンド法を使ってもいい」という状況は維持するべきだというのです。

 

実は日本の基本的な計測法から「寸・尺」(尺貫法)が外された時に日本国内でも同様に反対運動が起こりました。

 

日本では、計量法により、1958年12月31日より(土地と建物の計量については1966年3月31日限り)で取引や証明に尺貫法を用いることは禁止されました。

 

違反者は50万円以下の罰金に処せられます。(計量法第8条、第173条第1号)

 

なお、尺や寸に相当する目盛りが付されている物差し(「尺相当目盛り付き長さ計」)は、正式に認められているものであり、「黙認」されているということではありません。

 

当然日本国内でもこれまで慣れ親しんだ尺貫法を変える必要はないという強い国民の声もあったのです。


アメリカでは切り替えコストの議論もあります。

たしかにメートル法での表記を義務付ければ、公的機関はもちろん民間企業にも膨大なコストを強いることになります。

だから単位系を切り替えるべきではないというわけです。


効率を考えれば自由を云々するよりも、切り替える方が賢明です。

また、単位系が一緒くたになっている状況の方が無駄なコストが多いのですから、長期的な視点で考えれば切り替えるのが道理でしょう。


しかしアメリカ政府はどうやら当分メートル法に切り替えるつもりはないようです。


というのも2013年、アメリカ政府の目安箱(「We the People」)に「ヤードポンド法を廃止してほしい」という投書が5万件近くの署名を集めて提出されました。


ところが、これに対する当時の政府の回答は、早い話が「政府としてはどちらでもいいから、好きな単位を使って生活してくれればいいよ」というものだったのです。


未来のことは誰にもわかりません。

しかし政府がこのような対応をしていることを考えると、ひょっとするとこれからもずっと、アメリカはヤードポンド法を使い続けるのかも知れません。


アメリカが長年に渡って使い続けている単位換算コストは、同国の経済力を考えると膨大でしょう。

世界経済にも大なり小なり、影響を与えているはずです。


そう考えると「なんとかしてくれ」と思わないでもありませんが、他国の事情ですからどうすることもできないのが現状です。


私たちにできるのは、アメリカの単位事情から学ぶことくらいでしょう。

 

というのも、


・体面が邪魔をして効率を犠牲にする。

 

・短期的なコストが気になって、長期的なコストが見えてない。

 

実際アメリカ人からも続々と批判的な声が起きています。


これは会社や様々な組織でも日常的に起きているミスです。

 

アメリカのように、目先の問題に惑わされて大事なことを見失わないよう、くれぐれも注意したいものです。