昨日の続きです。
つまりは健康保険法施行規則第四十七条で規定されている「被保険者証の交付」の該当部分を省令改正してしまおうと考えているのかもしれません。
しかしこのままマイナンバーカードの普及が進まないまま強引に「改正」すれば大混乱は必至です。
今、保険医療機関には専用システムの導入圧力がかかっています。
そもそもマイナンバーカードそのものの取得率はこれまでブログでもお示しした通りやっと半数です。
マイナンバーカードの読み取り機を導入した医療機関や薬局は6万4965施設で、目標の20万施設の32.5%にとどまっています。
そこで政府は保険証の「廃止」に先立って、まず保険医療機関と保険薬局に圧力をかけることにしました。
療養担当規則(これに違反した保険医療機関は保険指定の取り消しにさえされ得る規則)の「改正」によって来年4月より、患者が「マイナ保険証」で受給資格の確認を求めた際にはオンラインで資格確認できるシステムを整備することを原則義務化したのです。
このシステム導入を拒んだ医療機関は、最悪の場合、保険指定取り消しという厳しい対処もされかねなくなるという、極めて高圧的な指導です。
「取り消し」をチラつかされた医療機関は、維持費を覚悟してやむなく導入するか、廃業を選択せざるを得なくなってしまいます。
コロナ禍が終息したとはいえぬ今、そのような現場に大混乱をもたらす政策は常識的にやってはならない「禁じ手」なのです。
ただ仮にすべての保険医療機関がそのように変わったとしても、現行の健康保険証が使用できなくなるわけではありません。
あくまでも医療機関側に「マイナ保険証」に対応するよう求めるものであって、前回のブログでお示ししたように現行の健康保険証を受け入れてはならないとするものではないからです。
これまでの健康保険証でも一切問題なく使い続けることができるので、「早く『マイナ保険証』を作らねば」などと慌てる必要はまったくないと思います。
そもそも「マイナ保険証」にしたいと思っても、スマホやパソコンを使える人でないと困難です。
それ以前に、マイナンバーカード未取得の場合は、まずそこから始めなくてはいけません。
これもやはりこれらの機器をある程度使えない人には難しいのです。
高齢者や障がい者といった医療機関を利用する頻度が高い人こそ、その困難に直面してしまいます。
このような人が国民の中に大きく残っているかぎり、現行の健康保険証を廃止になどできるはずがないのです。
つづく