昨日の続きです。
お酒の悪酔いの話です。
このアセト・アルデヒドの分解が速いと悪酔いが少なくなるわけですが、その分解を左右するアセト・アルデヒド脱水素酵素の多少は人種によって異なることが判明しています。
日本人、中国人、韓国人などのモンゴロイド(類黄色人種)では半数だけが通常の分解能力をもっているだけです。
45%では1/16の力しかなく、残りの5%には全く代謝能力が認められません。
これに対し、欧米コーカソイド(類白人種)やネグロイド(類黒人種)は誰もが酒に強いタイプなのです。
お尻に青い蒙古斑のあるアジア人の半数がアルコールに弱いということになります。
国内では、通常の分解酵素を持っていて酒に強い人の割合は東日本と九州に多くいます。
秋田県民が最多の77%、鹿児島と岩手県人が71%であるのに対して三重県人は最少の40%、愛知県人は41%となっています。
それでも経験によって多少酒量は上がるようですが、5%の人は粕漬けや奈良漬を口にしただけで大変なことになってしまいます。
酒の飲めない人を下げ戸(げこ)といい、酒を嗜む人、酒を沢山飲める人を上戸(じょうご)と呼ぶのは皆さんご存知の通りです。
これは、かつて律令制の課税単位に家族の人数や資産によって大・上・中・下戸の四等戸が決められていたことに由来しています。
上戸八瓶、下戸二瓶、などと婚礼に用いる酒の瓶数も決められていたことから、酒の飲みっぷりについても大ざっぱに上戸、下戸と呼ばれるようになったのだといいます。
他にも、秦の始皇帝が万里の長城を築いた時に風とともに寒い山上の門(上戸)を警備する兵士に体を温めるよう酒を振る舞ったと言われています。
平地の門(下戸)を守る兵士には甘いものを支給したことから辛党、甘党が生まれたという説もあります。
昔から「上戸かわいや丸裸」と身上(しんしょう)をつぶす人は多々ありました。
この中にも酒で身上をつぶした小原庄助さんという名前が出てきます。
「小原庄助さん 何で身上(しんしょう)潰した
朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした
ハア もっともだ もっともだ」
どうやらこの方、3人ほどのモデルがいるそうですが実在の人物だったようです。
一方、「下戸の建てたる倉もなし」と酒を惜しんだからといって財産は残らなかったようです。
私が今まで出会った人の中にも、全く酒が飲めない人が数人います。
ある方は業界の宴会等ではなんと皆勤賞。
みんなが酒を飲んで盛り上がってきても、上手に話を合わせてくれるので、全然飲めないのが正直わからないのです。
「酒が飲めないのに宴会に付き合うのは面倒じゃない?」
とお伺いしたところ、酒宴の雰囲気は嫌いじゃないとのお話でした。
案外こういうところで、酒飲みの人物像を観察しているのかもしれません。
ただ、やっぱり大酒飲みと飲まない人の割り勘というのは少し考えてあげないとかわいそうですね。
つづく