何かと話題の映画を観てきました。
『ラーゲリより愛をこめて』
二宮和也(山本幡男役)さん主演のこの映画が12月9日、全国で公開されました。
当初の週末3日間で観客動員27万3000人、興行収入3億7400万円と順調な滑り出しを見せているようです。
作家・辺見じゅんさんのノンフィクション「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」をもとに、瀬々敬久監督がメガホンを取りました。
俳優陣も多彩です。
第2次世界大戦後、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留された実在の日本人に扮した松坂桃李さん、中島健人さん、桐谷健太さん、安田顕さん、また二宮さんの妻役として北川景子さんと素晴らしいメンバーが揃っています。
「シベリア抑留」という言葉を知る人も、だんだん少なくなっているのではないでしょうか。
もちろん、実際に抑留された方々はどんどんお亡くなりになっています。
私も、今まで5人のシベリアに抑留された方々との出会いがありましたが、残念なことですが全員お亡くなりになってしまいました。
1人は私が中学校の時の担任の先生。
2人は私の治療院の利用者さん。
あと2人は偶然知り合いになった方々でした。
直接抑留された方々から当時のお話を伺うことができました。
その内容はほぼ映画でも再現されていますが、実際は、もっと非人間的な生活であったと容易に想像できます。
チャンスがあれば後ほど少しご紹介したいと思います。
あまり書いてしまうとネタバレになってしまうのでやめておきますが、二宮さんの祖父も実はシベリアで抑留されていたと二宮さんが話されています。
映画は息を呑むような空襲のシーンから始まります。
空襲警報が鳴らない空襲でした。
つまり、逆方向からの飛来!
南側は空襲に備えて警報は完璧でした。
「誰が!」
そうです、北のソ連からの攻撃でした。
「なぜ!」
実際のお話に戻ります。
島根県の隠岐島に生まれ、東京外国語学校(現在の東京外国語大学)でロシア語を学んだ山本幡男。
昭和11年(1936年)にモジミとともに満州(現中国東北部)にわたります。
南満州鉄道(満鉄)に入社して旧ソ連の社会、経済、軍事などを調査していました。
昭和19年(1944年)には軍に召集され、終戦時にはハルビン特務機関に配属されてソ連の新聞や雑誌の翻訳を行っていました。
幡男は終戦直前に対日参戦してきた旧ソ連軍に捕まり、モジミと4人の子どもと生き別れになってしまいます。
モジミや子どもたちとの再会を信じてラーゲリでの過酷な生活を耐えます。
ソ連側の手先になって仲間の監視を買って出る抑留者もいました。
しかし幡男は決してなびかず、自暴自棄になっていく仲間を「ダモイ(帰国)の日はきっとくる」と励まし続けます。
だが、その幡男自身が病魔に襲われ、帰国が難しくなっていきます。
つづく