昨日の続きです。
一基当たりのコストが何十万ドルから何百万ドルもするミサイルは、高速で飛行するため迎撃が難しく、大量の爆発物を搭載できます。
しかし、あまりにもコスト高となります。
今後、より大きな脅威となるのはドローンかもしれません。
偵察用は格安で製造できますし、自爆ドローンは日本の軽自動車1台分のコストでできると言われています。
飛行速度が遅く、打ち落とすのは容易ですが、一度に大量に投入して攻撃を仕掛けることができるからです。
今、戦争は『見せて戦う』戦争に変化しています。
ネットで世界が同時につながる時代になり、テレビやSNSを使った「情報戦」が前提となっています。
現在、ウクライナは自らの惨状を映像にして、国際世論を味方にするため世界に発信しています。
そこにもドローンは最大限利用されています。
ウクライナは、ロシア軍の前線の様子もSNSにアップしています。
そこには逃げ惑うロシア軍や、位置情報を特定されて爆撃される隠れ家などが写し出されています。
しかし、ドローンの戦争には、機体本体だけでなく、民間用の最先端デジタル技術も必要になってきます。
通信で動くドローンはサイバー攻撃を受けます。
それを回避するために、周波数帯を細かく変え続けるプログラムが必要になります。
こうした技術を提供するために、多くの民間人が協力しているのです。
開戦直後、ウクライナ軍は、IT軍を立ち上げ、世界中からエンジニアやハッカーを募集しました。
また、戦場で使われるドローンの多くは、民間用のドローンを改造したものです。
搭載されるカメラやバッテリー、半導体も民間品で、日本製も多いと言われています。
少し前までの戦争では、軍人が中核を担っていました。
しかし、ドローンの戦いになり、民間の製造物や民間人、民間企業の関与が不可欠となってきています。
すなわち『民間』と『戦争』との距離が近づき、境目が曖昧になってきているということなのです。
この境目をどこに設定するのかが国際社会に問われている新しい課題です。
一般の民間人が、戦争の情報やサイバーに関わった場合、軍人ではないときちんと区別することができるのか?
どこまでがお互いの攻撃対象であるのかを判断するのは非常に難しい問題です。
つづく