昨日の続きです。
この施行延期は全国約1600社のバイクショップが加盟し、自民党オートバイ議連などにもコネクションを持つ業界団体「全国オートバイ協同組合連合会(AJ)」の活動によるものでした。
いずれにせよ2025年には同じ問題に直面しようとしています。
コスト高を理由にメーカーが50cc車の販売から撤退してしまえば、新車で買える原付一種が日本から消滅してしまう可能性が現実のものとなっています。
原付一種は1980年には200万台近い台数を販売していました。
ここ2年は12万台レベルにまで激減しています。
そこで浮上しているのが「50ccという原付一種の枠組み自体を見直そう」という動きです。
現状の原付一種と同等の価格で、同等の走行距離を実現できる枠組みを“新・原付一種”として新たに策定し、生活の必需品である原付一種を今後も存続させようというものです。
具体的には・・
自工会二輪車委員会とAJが第四次排ガス規制の対策として紹介したのは以下の3つ。
①50㏄の新型エンジンを開発して排ガス規制対応する
②最高速度を50㎞/hに制御し、排ガス規制対応しない
③125㏄クラス機種の最高出力を50㏄相当(4kW程度)に制御して排ガス規制対応する
これらの中で、①と②は実施が困難だと思われます。
具体的には、航続距離や充電インフラ整備など、課題が山積しているのも事実だからです。
「2021年度二輪車市場動向調査報告書」では、電動バイクの認知度は72%と高いものの、「購入を検討したいとは思わない」「あまり購入を検討したいとは思わない」と答えた人が62%を占めています。
この理由は懸念事項は「1回の充電での走行距離が短い」が61%
「車両価格が高い」が56%
「バッテリーの耐用年数を考えると維持費面で不安」が52%
「充電施設の場所や数が心配」が49%
となっています。
その結果として要望として提出したのが③なのです。
簡単に言ってしまえば、125 ccの出力を落としてしまえ!
という話なんです。
昔125 ccに乗っていた立場からすれば、「なんちゅうことすんのよ!」となってしまうのですが、50ccクラスを残すためにはこれしかないみたいなのです。
一体どんなバイクになるのか私には想像がつきませんが。
昨年11月25日に開催されたAJの第19回通常総会後の懇親パーティにて、会長の大村直幸氏が踏み込みました。
「原付一種の新しい枠組みを来春を目処に策定する」と国会議員も数多く臨席していた会での発言でした。
原付一種の枠組みを見直そうという動きは、ググッと機運が高まったといえます。
もちろん、警察を始めとする関係省庁との折衝もあります。
AJの策定案がそのまま新しい原付一種となるほど話は簡単ではありません。
重要な生活の足でもあり、バイクの世界への入り口でもある原付一種は、二輪業界としても絶対に絶やしてはならないカテゴリーと言われています。
どのような形にせよ、新しい枠組みは2025年を前に発表されるはずですので、その内容が注目されています。