昨日の続きです。
一部に大きな誤解があるようですが、このような外国人は「犯罪者」だから追い出されてしまうのでしょうか?
実際に退去強制命令を受けた人たちのうち、過去に刑罰法令違反とされたことがあるのは2%ほどしかいません。
入管庁は送還を拒む3,224人(21年末時点)のうち35%にあたる1,133人に「前科」がある、としています。
しかし、これも《在留期限を経過してしまった「オーバーステイ」のみで有罪判決を受けた人々》も含まれています。
具体的な内容については公開されていません。
日本では労働目的など、本来の目的とは違った難民申請がほとんどだとの声も聞かれますが、実際はどうなのでしょうか?
日本における難民申請者については、いまだ「国籍別にみると世界の申請者とずれている」「偽装が多いのでは」という偏見が根強くあります。
例えばオーストラリアと比べると、申請者の多い国の上位10カ国のうち、5カ国(スリランカ、パキスタン、バングラデシュなど)は同じ出身国となっています。
日本では、トルコ出身のクルド人が難民認定されたケースは、昨年まではゼロでした。
一方、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)による2019年の統計を参照すると、トルコ出身者の難民認定数はカナダが2,012人、イギリスが761人、米国で1,400人となっています。
また難民申請後2カ月以内に、申請者は、
(A)難民の可能性が高い人
(B)明らかに該当しない人
(C)再申請を繰り返している人――などに振り分けられていきますが、入管が2020年の1年間で(B)としたケースは1.9%にすぎません。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のガイドラインなどでは、「武力紛争および暴力の発生する状況から避難した者」も「難民」として定義しうるとされています。
つまり、難民条約は紛争から逃れた人にも適用されます。
しかし、これまで見てきたように、日本は世界でまれに見る「難民認定困難国」となってしまっているのです。
加えて2021年の入管法政府案では、どんなことが変えられようとしていたのでしょうか?
主に4つのポイントを見ていきたいと思います。
今行っている国会でも、実際にこのことが大問題となっているのです。
つづく