結論から言うと全国の保健所数はこの30年間で半減しています。
職員数も約3.5 万人から2.8 万人に減っています。
真面目な保健所のお話です。
コロナについて言えば、
保健所は医療機関からの届け出(発生届)を受けて感染者に電話で連絡。
本人の症状や家族の体調、発症前からの行動等の聞き取りを行います。
(これ自体に答えてくれない困った人たちも随分いるそうです)
その情報を元に濃厚接触者を特定し検査につなげます。
感染者の症状に応じて入院か宿泊療養か自宅療養かなどを保健所が判断します。
保健所はそれでなくても日常の業務があります。
例えば東京都の保健所では以下の仕事を行っています。
少し長いですが念のために日常を。
内容
主な業務
○市町村支援
指導・助言、各種研修、事業協力、市町村の主体的な取組への支援(包括補助)等
○企画機能
地域保健医療推進プランの策定・推進・評価、先駆的事業の企画等
○健康危機管理
健康危機管理体制整備、新型インフルエンザ対策等
○衛生教育
広報・普及啓発、各種講習会等
○統計調査
各種統計調査、地区診断等
○保健医療
地域医療連携の推進、医療安全支援センター(患者の声相談窓口)、医師等の免許申請受付等
○歯科保健
歯科保健普及・教育、障害者歯科相談等
○薬事衛生
薬物乱用防止対策、薬局等の開設許可・監視指導等
○環境衛生
室内環境保健対策、理容・美容、クリーニング、旅館等の営業許可・監視指導、水質検査等
〇食品衛生
飲食店・食品製造業等の営業許可・監視指導、食中毒対策等
○保健栄養
栄養調査、特定給食施設指導、栄養成分等表示の普及等
○成人保健
生活習慣病予防対策等
○環境保健
アレルギー教室、大気汚染保健対策、花粉症対策等
○医療給付及び助成
療育医療給付、結核医療費助成等
○エイズ対策
抗体検査、相談、予防に関する普及啓発等
○結核対策
患者・家族検診、接触者検診、DOTS(直接服薬確認法)推進事業等
○母子保健
障害児の療育相談、指導等
○精神保健福祉
精神保健福祉相談、訪問指導、社会復帰促進事業等
○難病対策
在宅難病患者訪問相談・指導、医療機器貸与、骨髄ドナー登録受付等
保健所の通常業務はこれだけあるんです。
保健所の削減は1994年の地域保健法(保健所法を改正)で成立が発端です。
それまで保健所は人口10万人に1カ所の基準で設置されてきておりました。
ところが1994年からは二次医療圏に合わせるようになりました。
地域保健の広域的,専門的,技術的拠点としての機能を強化するとともに,保健・医療・福祉の連携促進のために,所管区域の見直しを行うこととしたのです。
ニ次医療圏は(複数の自治体で構成します)救急医療を含む一般的な入院治療が完結するように設定した区域で2020年9月時点で335区域あります。
当然複数の自治体で必要最小限あればいいということになります。
そして保健所は減少します。
法律上「減らす」と書いてなくとも減っていく流れになります。
当時は「新自由主義」が注目され、「改革」の名のもとに制度の縮小、削減、統合が始まろうとしていた時期です。
全国保健所長会資料から
( 厚生労働省健康局健康課地域保健室調べ )
このグラフからもわかるように特に指定都市の減少が目立ちます。
👆クリック
大阪市で24カ所、横浜市で18カ所、名古屋市で16カ所、京都市で11カ所、札幌市、川崎市、神戸市で9カ所、仙台市で5カ所あった保健所が
すべて1カ所に減らされています。😵
東京23区でも21区に2カ所から4カ所の保健所がありましたが現在は各区に1カ所しかありません。
保健師さんや職員さんは本当に過労死寸前まで頑張っておられると思います。
ほんとに皆様にも知っていただきたいと思います。
コロナの感染力の強さとともに、その裏ではこのようなことが保健行政に起こっていることも忘れてはなりません。
残念なことにコロナの脅威はまだまだこれからも続くでしょう。
コロナのような非常時にでもしっかりと対応できるためには、やはり保健所の体制強化を急いで行う必要があるでしょう。
具体的には「現状維持でがんばってくれ!」ではなく保健所の増設や保健師さんの定員を増やすなどの対応が求められると思います。
そして感染者数が減少傾向にある今でなければできないことをしっかりやる必要があると思います。
保健所の皆様
本当に有難うございます。
そして身体に気をつけて頑張って頂きたいと思います。
感謝と連帯を!