昨日の続きです。
北大西洋条約機構(NATO)の加盟国もはGDP比2%以上が目標になっています。
このことについて香田さんはこう言います。
「その目標を、米国の要請でNATOが作ったのは2014年です。
10年近く前から相当に準備している中で、ロシアのウクライナ侵攻があり、ドイツなどが明確に舵を切ったわけです。
日本は急すぎた上に、内容も身の丈を超えたものになっています。」
防衛費は多ければ良いのではないかと言う問いかけに対しては・・
「予算に無駄があれば、防衛力にとってもマイナスです。
新しい研究を始めると、途中で止める事はなかなかできず、人も張りつきます。
多くの装備品は、実はローン払いで後年度負担があり、維持費も相当かかります。
これらの選択肢を誤ると、将来本当に必要な防衛力にお金や人材を投入できないことにさえなるのです。」
敵基地攻撃能力について香田さんは・・
「方向性には同意します。
日本が『盾』だけでなく、米国が担っている『矛』を補完することは抑止力に資するでしょう。
周辺国はミサイル技術を向上させており、変則軌道で飛ぶ大量のミサイルが発射された場合、今の日本の防衛母では対応しきれません。」
「ただ、奇襲攻撃に着手に対し、政府がどう存立危機事態を認定し、防衛出動をかけるのかが明確ではありません。
『矛』の役割を日米で担うわけですから、有効に機能させるためには、NATOや韓国軍・在韓米軍のように統一した指揮系統も必要です。
24時間365日対応するために、新たな部隊編成も求められます。
変更した運用面を国民合意のもとで、事前にはっきりさせておかなければ、実効性を持たないばかりか、現場の自衛隊がしわ寄せを受けることになりかねません。」
今回の防衛費増額は自民党からの要請が強かったわけですが、政治との関係について聞かれた香田さんは次のように語っています。
「文民統制は極めて重要ですが、政治は大きな方針を決め、具体的な内容は自衛隊が考えるべきです。
かつて米国はベトナム戦争で『ベスト・アンド・ブライテスト(最良で最も聡明)』と呼ばれた閣僚や大統領補佐官たちが攻撃目標まで指示し泥沼化して敗れました。
その反省を踏まえた湾岸戦争で、米国の政治は、イラクのフセイン政権に勝利するという大きな方針だけを示し勝ったのです。」
「防衛省・自衛隊が自民党に示す資料には、不都合なことが書かれていないと思うことがあります。
議員が防衛省・自衛隊に情報を出させ、専門的な知識で厳しくチェックすることは必要です。
ただ、内容に立ち入りすぎるのは禁物です。
陸上から海上へ、大型艦を小型化へと二転三転するイージスシステムは、まさに政治的な迷走の象徴です。」
つづく