私は日本の古典芸能が好きです。
というか、ある程度年齢を重ねて少しは分かるようになりました。
古典芸能といっても能・狂言・日本舞踊などほんとにたくさんあります。
まだまだよく理解できないところなどありますが、なるべく機会を見つけて直接足を運んだり、映像を見たりしています。
もう一つ、私は以前から義務教育の中にぜひ和楽器を取り入れて欲しいと思っています。
最近では日常、三味線などに触れる機会がありませんからね。
子どもの頃に少しでも興味を持って貰いたいと思いますね。
実は東京に行って本当の舞台を見る予定でしたが、コロナの影響で行くことができなかった、まさにその舞台のDVDなのです。
この演目、歌舞伎上演三百年を超えております。
平家女護島(へいけにょごのしま)鬼界ヶ島の場を通称『俊寛』といいます。
この演目は俊寛という男が主人公です。
僧位の「僧都」を冠して俊寛僧都(しゅんかん そうず)と呼ばれることもあります。
劇中ではボロボロの着物を纏って髭は生え放題。
見た目は老人のようでありますが実際のところは40代にもなっていない頃だと思われます。
もっともこの時代の平均寿命はずいぶん短かったはずでありますが。
「不遜なり、清盛、汝、何を以って、我を謀反と言うぞ」
「人心の奢れる者を滅ぼすがなんの謀反、何の叛逆(はんぎゃく)・・・夢かぁ・・」
俊寛の絞り出すようなこのうめきとつぶやき。
これができる役者さんがなかなかいないのです。
もちろん相当長い経験と実力がなければこの『俊寛』は務まりません。
夢か・・と目を覚ましたのは、平清盛へのクーデターを計画したために島に流されて3年目の俊寛です。
この後、自分の運命がジェットコースターのように転変していこうとは夢にも思っておりません。
直後に恩赦による迎えの船が島にやってきます。
けれどもその船の乗船許可名簿には俊寛の名前だけが載っていません。
さて、そもそもこの鬼界ヶ島はどこにある設定なのでしょうか?
舞台では最初に状況説明のナレーションの浄瑠璃が始まります。
「もとよりもこの島は、鬼界ヶ島と聞くなれば、鬼あるところにて、今生よりの冥土(めいど)なり・・・」
暗いあの世のことで、つまりこの世の時刻が鬼界ヶ島ということなのです。
鬼の世界の島、じゃあいったい今のどこかと考えますと・・・・
つづく