昨日の続きです。
普段から医療現場ではお薬手帳なども使っています。
例えば前日にもらったお薬もお薬手帳に記入しておけば、翌日に違う病院に入院しても情報は継続されます。
このように医療機関側も患者さんと医療情報をやり取りし適宜把握できています。
あえて情報が1ヵ月ほど遅れるマイナンバーカードを使う理由は全くありません。
そもそも政府もマイナンバーの管理は個人情報そのものであるから厳重に管理しなさいと言ってきました。
ところが今回は積極的に持ち歩けというように対応が180度転換しています。
万一マイナンバーカードを紛失し、それが保険証や運転免許証と紐付けられていたとしたらどうすれば良いのでしょうか。
そしてその元になる保険証や運転免許証が発行されないとしたら。
政府はそのような点に明確に対応策を示していません。
こう考えると地域の医療機関でマイナ保険証、マイナ受付導入のメリットはほぼありません。
マイナ受付では患者さん自ら医療機関が備えつけたカードリーダーを操作する必要があります。
リーダー内蔵カメラによる顔認証やタッチパネル操作等で手助けを要する患者さんが当然増えてきます。
これまで導入した医療機関のほぼ3分の1でトラブルが報告されているらしいのです。
有効な資格が無効などとされたり、電子カルテや診療報酬請求に使うパソコン動作に支障が出たなどの声が多く寄せられています。
運用が広がれば、院内でのマイナンバーカード紛失等問題がさらに顕在化することも考えられます。
システム修正も煩雑である上、医療機関に費用負担等が強いられるなどデメリットも多いのです。
率直に言って医療現場では特段必要と判断されていない状況にあります。
現在ではカードリーダー販売など関係事業者から医療機関に夜討ち朝駆けの営業が強められているようです。
医師が高齢、施設が小規模、所在地が僻地や離島や電子機器操作に不慣れなど、対応が困難な医療機関もあります。
導入する必要性を感じていない医療機関からは悲鳴が上がっているといいます。
特に数年以内に閉院予定の医師等からは無駄な投資と疑問が噴出しているようです。
中には「義務化になったら閉院する」
「発熱外来を止めないと整備に時間が取れない」などの声も噴出し、本末転倒な事態となっているようです。
ある医師は・・
「命と健康を人質にマイナンバーカード取得を押し付けるものだ」
「大規模な通信障害やセキュリティー事故も相次ぐ中で、マイナ受付が機能しなくなれば大混乱となってしまう」
「無責任極まる政策である」と憤っています。
そもそもブログの最初でお示しした通り、患者である私たち、また医療機関は現行の保険証廃止等を一切求めてはいません。
マイナンバーカードを普及させるために、医療現場を踏み台に利用するような愚策は許されるものではありません。
患者が使い慣れた保険証で受診が続けられるようにマイナ受付の導入義務化はやめるべきだと思います。