昨日の続きです。
自律神経は体温も調節しています。
体温は日中は高く、眠ると低くなり、自律神経のバランスのとれている人の体温はおよそ36.5度です。
元気な人はそれよりも高いくらいで、限界は37.2度くらい言われています。
36.0~37.2度が健康な人の体温で、35.8~36.0度くらいが下の限界です。
低体温になるとさまざまな病気が起こります。
例をあげてみましょう。
細胞の中の核酸が代謝されると尿酸が生まれますが、尿酸値が高いだけではまだ痛風は起きません。
低体温によって尿酸が結晶化すると初めて痛風になります。
また、腰痛に対して一般的に処方されるのが消炎剤です。
確かに痛みは止まりますが、血流も止まってしまい、体温も下がります。
薬の効果が切れると血液が流れ始め、再び痛みが現れます。
加えて、薬の興奮作用によって眠れなくなります。
病気が病気を呼んでいるのです。
どこかで薬の使い方を変えねばなりません。
昔なら湯治をしていました。
私の地域でも昔は稲刈りが終わった後などに、ご近所揃って湯治したと高齢の人たちは言います。
もともと温泉が豊富な地域ですのでこのようなことが行えたのです。
食材は持ち込みで、炊事洗濯なども共同の場所を使って2週間から1ヵ月間ほど温泉で体を休めるのです。
今はなかなかこういうことができる温泉も少なくなりました。
実はガン細胞も低体温を好むことが判明しています。
癌細胞は成長が早いですから栄養の元となる血液、すなわち血流を多く必要とします。
そのため癌細胞から血管新生因子が分泌され、癌に栄養がたくさんいくように、細い血管が癌の塊の周りにたくさん作られます。
つまり、癌の成長は癌をとりまく血液循環に依存しているといえます。
ところが、癌は熱に弱いとされています。
がん温熱療法という治療法があります。
癌細胞は42度以上になると死滅するといわれています。
正常細胞では熱が上がると毛細血管も拡張して熱を逃がす働きがあります。
一方で、がん細胞の新生血管は栄養供給のために急場しのぎで作られた血管なのでそこまでの働きがなく、熱がたまり死滅する、というのです。
また腫瘍が39~41℃になると、がん細胞への攻撃に関わる免疫細胞(NK細胞、樹状細胞、マクロファージ等)が著明に活性化します。
がん細胞内では、HSP(熱ショックタンパク質)が増加し、免疫細胞のがん細胞への攻撃を促進します。
免疫系は全身を巡っているため、1つのがん組織を温めることによって、それ以外の部位での効果も期待されます。
つづく