hayatouriの日記

はやとうり の独り言

小麦の値上がりを考える  その4

すこし時間が経ちましたが前回の続きです。

 

ちなみに・・・

 

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない!」


この一言はフランス革命のひきがねともなった、王妃マリー・アントワネットの言葉として広く知られています。
 
飢餓と重税に苦しむ国民の貧しさを全く理解しようとしない、傲慢で贅沢三昧な王妃の無教養ぶりを露呈する大変ネガティブな発言として有名です。


この言葉、実は、マリー・アントワネットの発した言葉ではないと言われています。
 
しかしながら、あの王妃ならば言いかねないとフランス国民は思ったのかもしれません。


1989年に中国で起こった天安門事件も、その原因は穀物価格の高騰にありました。


たしかに学生が主導した民主化運動であることに間違いはありませんが、それはあくまで表面的な見方に過ぎません。


その事件の根底には、年率で20%近いインフレによる民衆の生活苦や飢えに対する不満があったのです。


なぜ中国政府が「財政赤字の対GDP比率を3%以内に抑える」という方針を堅持しているのでしょうか?


インフレを非常に恐れているからです。


日本政府に比べればはるかに財政に余裕があるにもかかわらずです。

 

天安門事件以後の中国の財政における方針では、「放漫財政によって物価高を招けば、社会が不安定になり共産党独裁体制の土台が揺らぐ」という懸念が共有されています。


2011年に中東で起こったアラブの春のきっかけも、小麦価格の高騰によるものでした。


主食であるパンの価格も高騰し、庶民は食べていくのが苦しくなったのです。


北アフリカチュニジアで発生した反政府デモが当時のベンアリ独裁政権を倒しました。


それがエジプトのムバラク独裁政権リビアカダフィ独裁政権を崩壊させるまでに波及していきました。


フランス革命天安門事件アラブの春の例からも分かるように、革命や動乱につながるような民衆の暴動は多くの場合、インフレによる生活苦が原因となっています。


とくにアラブの春は、2010年にロシアとウクライナ穀物輸出制限が大きく影響していました。

 

どうです?今に重なりませんか?


現在まさに中東や北アフリカで再び政情不安が高まっているといえます。


国連食糧農業機関(FAO)によれば、ロシアとウクライナの両国からの小麦輸入シェアが50%を超える国々は、中東やアフリカを中心に26カ国もあります。


両国からのエネルギーや穀物の輸出が減少したことで、食糧難や政情不安に陥る国々が徐々に増えつつあるようです。


足元ではパキスタンスリランカ政権交代が起こり、イラクやペルーでも食糧高に抗議する大規模なデモが発生しています。

 

リビアレバノンチュニジア、イエメン、ソマリアなどでは、食糧不足による人道危機を心配する報道がされています。


原油天然ガスなどのエネルギー価格の上昇と連動して、食糧高が長期化するリスクが高まっています。


そのうえ、ロシアによるウクライナ侵攻が、そのリスクに拍車をかける事態を招いています。


その結果、新興国・途上国の政治を大きく変える地殻変動が起こるかもしれないのです。

 


そしてそれは日本でも様々な問題を起こす可能性があります。


このブログの最初にも紹介しましたが、日本の小麦粉の9割は外国からの輸入小麦で作られています。


直接小麦粉を使う俗に言う「粉もん」のお好み焼きやたこ焼き類、ほぼ全ての麺類(インスタントも含む)、お菓子類やケーキ類(和菓子も)、全てのパン、原料となる味噌醤油、ビールや発泡酒・・・・・


口に入れるものではありませんが、化粧品や石鹸などの日用品にも小麦が使われているケースがあります。


肉・魚・野菜を除いて、もはや数え切れない位の商品に小麦粉が使用されています。


それらが一斉に値上げされる可能性も視野に入ってきました。


果たしてこれから私たちは、原油高騰などとともに、これらの物価高騰に対してどのように対応すれば良いのでしょうか。


当然個々人の対応では限界があります。


こんな時だから政治が動く必要があると思いますし、政治を動かすのは私たちだということも忘れてはいけません。