前回の続きです。
あの「ピーターパン」とグレート・オーモンド・ストリート病院は深いつながりがあったのです。
病院玄関脇にあるピーターパンの象
ケンジントン・ガーデンズのピーターパン像の脇には、サーペンタイン池が広がっています。
ピーターパンの有名なセリフがあります。
「2つ目の星を曲がって、朝まで真っ直ぐ!」
こんなすてきでロマンチックなピーターパンのセリフは子供たちに素直に受け入れられるでしょうね。
さて、バリーがピーターパンの著作権を寄付したとお伝えしました。
ところが本来なら死後何年かで著作権切れになるはずのところですが、イギリス著作権法に例外項目が加えられました。
イギリス政府も粋な計らいをするものです!
ですから今もってピーターパン関係の著作権収益はここに寄付されているのです。
これまでの話の流れで、なぜロンドンのタクシードライバーはお金を受け取らないのかがお分かりになるのではないでしょうか?
そうです、ロンドンのブラックキャブドライバーは、歴史的にグレートオーモンドストリート病院への運賃支払いを拒否し続けているのです。
私が「X」で見た動画も、この様子を写したものだったのです。
この病院に向かう利用者の多くは、多分子どもと家族、特に母親が多いと思われます。
ロンドンのブラックキャブドライバーは車内の雑談で母親や家族の話を聞いた後に、グレートオーモンドストリート病院への往復の支払いを拒否するのが普通なのです。
私の見た「X」のお話はこのようなものです。
タクシーは小児病院の外に駐車しました。
女性が料金を支払うために近づくと、運転手は言います。
あなたは知らないかもしれませんが、あなたはお金を払うことができません。
グレートオーモンドストリート病院へ向かう人たちから私たちは支払いを受けません。
お母さんはとても驚き、感謝しています。
彼女はタクシーから出る前に何度か運転手に感謝の意を表し、運転手は次のように答えます。
「気をつけて行ってください、マダム!」
何か、映画のシーンを見ているような気持ちになりました。
ロンドンのタクシー運転手で構成するユナイテッドキャビーグループと言う組織があります。
日本でいえば運転手の組合みたいなものです。
議長であるカレンさんという女性がいます。
彼女によると、この行為はロンドンのタクシー運転手の長い伝統の一部なのだそうです。
彼女はこう言います。
「グレートオーモンドストリートへの運賃を受け取るとき、私たちは顧客に料金を請求しません。
多くの親が定期的に病院に行きます。
そして私たちはこの運賃なしの伝統を長い間維持してきました。」
ここには、ロンドンのタクシードライバーの矜持が感じられますね。
つづく