黒いダイヤといえばかつて「石炭」の代名詞でした。
炭坑節にも「ダイヤモンドが欲しいな~ら~♪ 一度来てみなこの山に~~♪
男盛り~の サマちゃ~~んが~~♬ 意気で掘り出~す~~黒ダ~~イヤ♬」(サノイヨイ~♪)
ちなみにこのサマちゃんとは、北九州の方言で「連れ合い・恋人」のことだそうで、女性が男性に向けて呼んだものらしいです。
さて話は飛んでしましました。
元に戻りましょう!
今、「白いダイヤ」が注文されています。
電気冷蔵庫がなかった時代、冬に降る雪や池や川の氷が天然の冷貯蔵庫として利用されていました。
約2500年前の孔子の時代、中国にはすでに巨大な氷室(ひむろ)という氷の貯蔵庫があったと記録があります。
ヨーロッパでは夏になるとローマ皇帝が邸宅の庭に雪を運び入れ、吹きつける冷風で涼を楽しんだそうです。
我が国では奈良時代にすでに氷室があり、天皇への献上品として氷が用いられました。
平安時代には清少納言もかき氷を食べたという記録が『枕草子』に書かれています。
氷室や雪室が用いられていたのは、冷蔵庫が出回る昭和30年代頃までです。
用途は、生鮮食品の冷蔵や医療用など。
雪室の雪は多くの病院で氷のう用として重宝されていたようです。
かつて日本のエネルギーを担った北海道の石炭の産地で今、新たなエネルギー源として雪の研究が進められています。
「白いダイヤ」と呼ばれています。
その可能性に注目が集まっています。
札幌から北に50キロ。
内陸の美唄市でいろんな取り組みが行われています。
その一つが「アワビの養殖」です。
え?アワビ??
海が無い内陸で、いったいどうやって?
それは「完全閉鎖式陸上養殖」と呼ばれています。
👆 クリック
雪原に設けられた温室でアワビが養殖されています。
温室の中は常に15℃以上に保たれていますが、真冬の北海道で朝晩はマイナス20℃近くまで冷え込みます。
暖房にコストがかかりそうですが、石油ボイラーなどはありません。
「データセンターの熱が冬は暖房の熱として温室にいく」設計になっているのです。
温室に隣接するデータセンター。
ここには東京の企業が利用する大きなコンピュータ=サーバーが置かれています。
このサーバーから放出される熱を温室の暖房に使っているのです。
「サーバの熱は、黙っていると地球に放出されるだけでもったいないが、回収すれば有効に使える」(雪屋 媚山商店 本間弘達社長)とのこと。
一方で、データセンターは夏になると60℃以上にも暑くなります。
本州では、莫大なエネルギーと費用をかけて冷房しますが、ここでは一味違います。
美唄市の排雪を持ち込んでいる雪山では3000トンの雪が貯まるのです。
ひと冬で10メートル近く雪が降る美唄市では、23年前から除排雪で集まった雪を解かさずに貯蔵しています。
そしてサーバーを冷却する技術を開発しました。
すべて雪のエネルギーで賄うので、光熱費はほとんどかかりません。
「美唄市は石炭で栄えた街、石炭は『黒いダイヤ』と言われていた。私たちは雪を『白いダイヤ』と言っている。天から降ってくる“やっかい者”ではなく、宝物。有効に逆転の発想で使っていきたい」(雪屋 媚山商店 本間弘達社長)
除雪の負担や交通障害、時には災害も引き起こすやっかい者扱いの雪が、将来、日本のエネルギーの主役になるのかもしれません。
逆転の発想がすごいですね!