昨日の続きです。
(池澤医師の症例です)
14歳女性。初潮は2年前、以降今年の5月までは28~30日型で定期的に月経あり。
今年3月1回のみmRNAワクチン接種。
その3か月後に当たる6月より頻発月経があり9月1日より始まった月経が多く止まらないということで来院。
頭痛も6月ごろから出現し徐々に強くなってきている。
また週に半分くらいは下痢便。
さて、この現病歴であなたは何を疑い、どういう方針で検査・治療に臨みますか?
(※池澤医師はTwitterのフォロワーであろう医師に向けて発信されているようです)
この患者さんは今日受診された方です。
14歳で性交経験もないため経腹エコ-しかできませんでしたので、子宮や卵巣の詳細な情報は得られません。
しかし、少なくとも子宮筋腫や卵巣嚢腫などの器質的疾患はなさそうです。
ホルモン異常による出血であることは間違いなさそうです。
ワクチン接種後3か月経過しての月経異常。これは「時間差ワクチン後遺症」を疑う大切なポイント。
そこで月経異常以外の愁訴を詳しく問診する必要があります。
「頭痛」「下痢」の症状がこの患者にはあり、しかも月経異常と同時期に発症しています。
Sタンパクは、これらの症状の原因になることがあります。
以上より「時間差ワクチン後遺症」を念頭におき、血液検査をオーダ-しました。
出血量は大量ではなく普段の月経程度でしたが、6月からの頻発月経のため貧血症状も認められました。
IVM×2投与とフェジン1A静注、ホルモン剤による止血を併用すべきかはD-ダイマ-の数値を見てからでも遅くはありません。
(※IVMとはイベルメクチンというお薬です)
今日結果の一部が出ました。
貧血はそれほどひどくはなかったです。
FSHとLHはやや低値。
E2は50以下でしたので「時間差ワクチン後遺症」によく見られる所見です。
D-ダイマ-は陰性でした。
IVM単独で止血しないようならホルモン剤の併用も検討しますが、単独でも止血するのではないかと思っています。
FSHとLHが極端な低値、E2が高値の場合でワクチンが原因の不正出血は「重症」のことが多いです。
慢性的に経過するとFSHはやや高値になりますが、その場合は卵胞細胞がFSHに対し不応性になっていると判断します。
40歳以上の場合は卵胞細胞の減少で生理的にFSHが上昇するので鑑別が必要です。
今日再診日。
IVM12mgを一昨日と昨日2回服用して、9月1日から続いていた出血が、今朝から急速に止まりかけていると言う。
下痢もIVM服用後から、すぐに無くなり、頭痛も軽減している。
つづく