物語のあらすじです。
まずは読んでみてください。
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ピッチャーの星野君は同点で迎えた最終回、監督から、先頭打者を「バントで二塁に送れ」と命じられた。
納得はできなかったが、監督の命令にそむくことはできない。
バントのつもりでバッターボックスに入ったが、自分の判断で姿勢を少し変え二塁打を打った。
この一撃が勝利を決定的にし、チームは選手権大会への出場を決めた。
翌日、監督が選手たちを呼んで話した。
「僕が監督になったとき、相談してチームの規則を決めた。
いったん決めた以上は、厳重に守ってもらう、チームの作戦として決めたことは、服従してもらわなくてはならないという話もした。
だが昨日、僕は面白くない経験をした。
僕は、昨日の星野君の二塁打が気に入らないのだ。
チームの統制を乱したことになる」
チームメートが助け舟を出したが駄目だった。
「いくら結果が良かったからといって、ルールを破ったという事実に変わりはない。
チームの統制を乱した者をそのままにしておくわけにはいかない。
僕は今度の大会で星野君の出場を禁止したいと思う」
星野君はじっと涙をこらえていた。
さて、コレを読んだ貴方はどう感じましたか?
これ、実は定番の道徳教材です。
以前、「道徳の教科化」を取り上げたテレビ番組でも、道徳教育研究校の公開授業の教材として取り上げられていました。
この教材は「規則の遵守」の大切さを教えるものです。
最近、回転寿司チェーン店での「つば付け」動画などがずいぶん問題になっています。
しかも次々と、してはならない、あってはならないことが、さも得意げにSMSに上げられたりしています。
「道徳教育をもっと徹底しないからこういうことになる。もっと強化するべきだ!」というような考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。
(このブログの中では、家庭でのしつけなどは取り上げず、あくまで道徳教育に絞って考えます)
実際、国の方針としても、道徳教育を強化する方向に向かっています。
問題なのは、その道徳教育のベクトルがどっちを向いているかということなのです。
この「星野くんの2塁打」に対する批判は数多くあります。
「野球を知らない子には、この状況は分かりにくい」
「野球チームという限られた組織内での規則を、一般社会での規則と同一視するのはどうか」
などです。
このいわば「課題と問題の残る」教材について現場の教師たちは非常に苦労して取り組みを進めています。
今回は、この「星野くんの2塁打」を教育現場で、生徒の理解を深めながら、進めようとしている取り組みをご紹介したいと思います。
さらに道徳教育のあり方なども、皆さんそれぞれ考えていただけるきっかけとなれば幸いです。
つづく