昨日の続きです。
ワシントン・ポストの記事は主見出しに続く袖見出し(小さな見出し)で、「男性社会の日本は、他の多くの先進国では当たり前となっているリプロダクティブ・ライツ(産むかどうかを女性が自分で決める権利)をなかなか認めようとしない」と紹介しています。
日本における中絶問題の根幹にジェンダー問題があることを強く意識させる内容となっています。
まさに、中絶などについて定めた現在の法律(母体保護法)では『本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる』となっている問題点が浮かび上がってきているのです。
記事は冒頭で、親が育てられない赤ん坊を匿名のまま受け入れる、いわゆる「赤ちゃんポスト」の活動を続けている熊本市の慈恵病院の話を紹介しています。
そして、妊婦や識者などへの取材してこのような結論を出しました。
赤ちゃんポストを利用する親が後を絶たないのは、日本では中絶手術を受けにくいのが一因だとしています。
例えば、記事を書いた記者は、望まない妊娠をし中絶の相談をしに行った未婚の妊婦を取材しています。
その妊婦さんは、医者から「手術するには赤ちゃんの父親の同意が必要だと言われた」と話しています。
病院側としては、当然手術の後の父親とのトラブルを警戒します。
この女性は悩んだ挙句、産むことを決意しました。
そのために進学を諦めなければならなかったと書いています。
また、少子化が急速に進む中、少子化をさらに進めることになりかねない人工中絶に否定的な考えを持つ政治家もいると紹介しています。
女性の人権や母体の健康よりも、経済的観点から中絶問題が論じられている一面も報じています。
記事によれば、中絶手術を受けるのに配偶者の同意を義務付けているのは、先進7カ国の中では日本だけしかありません。
詳しくは、世界203か国のうち、人工妊娠中絶にあたって配偶者の同意を法的に規定している国は11カ国・地域しかありません。
日本以外は、シリア、イエメン、サウジアラビア、クウェート、赤道ギニア、アラブ首長国連邦、台湾、インドネシア、トルコ、モロッコといった国々です。
韓国も以前は配偶者の同意を義務づけていましたが、2020年に廃止されまた。
日本では、これまでも「配偶者」の同意を得られず中絶可能な期間を過ぎてしまうケースもあると指摘されています。
つづく