昨日の続きです。
中絶薬の管理体制が非常に重要になってきます。
中絶をしたくない人に飲ませるなど、悪意のある者が入手すれば事件に繋がりかねません。
一般で流通することは基本的にはありませんが、厳格に病院で管理することが求められます。
厚労省は「社会的な関心が高く、慎重な審議が必要」として、2月末までパブリックコメント(意見公募)を実施しました。
この集まった意見を踏まえて、厚生労働省は3月24日の薬食審・薬事分科会における国内初の経口人工妊娠中絶薬・メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール、申請者:ラインファーマ)の承認可否の審議を見送りました。
事後ブリーフィングで厚労省の担当者は「パブリックコメントに約1万2000件という極めて多数の意見が寄せられました。
賛否の割合はおおむね集計できましたが、単に承認に賛成か、反対かだけでなく、医薬品の流通管理の在り方や患者の管理の在り方など、さまざま意見が含まれていました。
その分析や対応の整理に予想以上の時間を要したためです。」と、その理由を説明しています。
なお、賛否の割合はおおむね2対1だったということです。
国際的にはこんな動きもあります。
米連邦最高裁判所が2022年6月24日、人工妊娠中絶を「憲法上の権利」と認めた判例を約半世紀ぶりに覆す判断を下しました。
ニュースは日本でも大きく報じられましたね。
ネット上でも、驚きの声や女性差別的だなどの感想が、識者や一般の人たちから数多く寄せられています。
ところが、その日本の中絶事情に関し、米有力紙は「日本は女性の中絶の権利が先進国の中で最も蔑(ないがし)ろにされている国」と述べているのです。
理由はこうです。
「日本では人工中絶は合法だが、ほとんどの場合、女性たちは夫の同意が必要だ」
こんな見出しで始まる記事を配信したのは、米有力紙のワシントン・ポストです。
執筆したのは同紙の東京支局長で、記事の日付は同年6月14日でした。
米国では、テキサス州のグレッグ・アボット知事が昨年、妊娠6週以降の人工中絶を禁止する法案に署名するなど各州で中絶を禁止する動きが拡大しました。
予定されていた最高裁の判断を控えて中絶問題に対する世論の関心が非常に高まっていた時期です。
ワシントン・ポスト紙の記事も、「このタイミングで書けば、日本にあまり関心のない米国の読者も興味を持って読むだろう」との判断だったようです。
つづく