hayatouriの日記

はやとうり の独り言

人工妊娠中絶を考える その5

 

昨日の続きです。

 

国連の女子差別撤廃委員会が、日本に対し中絶の同意要件を削除するよう求めているのも事実です。

 

今回の米連邦最高裁の判断で、主要国の中では米国が最も中絶に厳しい国になったといえます。

 

これが日本国内の中絶をめぐる議論にどう影響するか注目されています。


また、もしわが国で中絶薬が承認されるとしたら、その薬を使用する側にも新たな課題が発生します。

 

イギリス滞在時に流産を経験し、その処置として「ミフェプリストン」と「ミソプロストール」を服用した産婦人科医の池田裕美枝先生のお話です。

 

イギリスでは、流産の処置としてもこれらの薬を使用しています。

 

池田先生は2つ目の薬を飲んだ後、子宮の内容物が排出されるまでの間に強い腹痛と出血があったとのことです。

 

そうした経験から『手術と内服のどっちが楽かと言われると両方しんどいと思う』と話しています。

 

果たして精神面・身体面で大きな負担となる中絶。

 

手術と飲み薬、どちらの負担が患者にとって軽いのでしょうか?

 

患者の負担を考慮すると『入院は必要ない』という専門家もいます。

 

海外でも入院なしで使われています。

 

ただ、日本では初めての薬ですから、現場の医師に経験がありません。

 

中絶を行う都内の医師からは『薬は効き方に差があるので、使いにくい。国内で多く使われるようになり経験が集まってくるまでは使わない』という意見もありました。

 

内容物が出るときの出血も多く、緊急時に対応できるよう、当面の間は、入院設備がある病院での使用に限って使用することを厚労省は検討しているようです。

 

中絶を考えている人にとって、選択肢が増えるのは「意義がある」と考える医師も当然います。

 

しかし、先ほどの池田先生によると、飲み薬は『自分自身で妊娠を終わらせる』という『自分の行為』だったと話しているのです。

 

手術は医師によるものなので『受け身』の部分が多いですが、薬は自らの手で飲むので主体性が異なるものとなります。

 

手術では出血など、手術を受ける側が見ることはありません。

 

一方で薬は、たくさん血が出て内容物が排出される過程を体験することになります。

 

池田先生は『全く別の経験で、選択できることは意義がある』と話しています。

 

しかし、一般の女性にとってこのような体験が何をもたらすのか、わが国での経験はまだないのです。

 

選択肢の幅が広がる一方で、経口中絶薬を飲んだとき、自分の体に何が起こるのかきちんと理解する必要があると思います。

 

当然、医療関係者は、そのことを利用者に正しく納得と理解をしてもらうように努めなければなりません。

 

近い将来、わが国ではじめての取り組みが行われようとしています。