昨日の続きです。
ざっくりと江戸時代の主な罪状と刑罰を見てみましょう。
傷害
傷害事件には、厳密な罰則が規定されていなかったため、死罪が適用される場合もありましたが、実際には江戸からの追放等の処分が多かったといいます。
親への傷害→磔もしくは死罪
主人への傷害→晒しもしくは市中引き回しのうえ磔・死罪
尊属への傷害→死罪
※ここで言う尊属とは、自分より先の世代の直系または傍系の血族をいいます。
師匠への傷害→死罪
放火
放火は重大犯罪でした。
一旦火が出れば長屋が密集していた江戸はたちまち火の海となり、多くの命が失われてしまいました。
放火→市中引き回しのうえ火罪
依頼放火→市中引き回しのうえ死罪
平日失火(不始末による火災) →状況に応じて10〜30日押込(おしこめ)
※押込は江戸時代の刑罰の一つ。武士,庶民の別なく科せられる一種の軟禁状態におかれる罰で,『公事方御定書』によれば「他出を許さず,戸を建て寄せおく」とあります。
これには百日押込め,五十日押込め,三十日押込めなどがありました。
殺人
人を殺した場合は、基本的に死罪。
身分制度が厳然としてある江戸時代だけに、目上の人を殺した場合はより厳しく処罰されました。
主人殺し→鋸挽のうえ磔
辻斬り→市中引き回しのうえ死罪
尊属殺し→市中引き回しのうえ磔
殺人幇助→遠島、追放、重過料など
詐欺・横領・偽造
当時意外と多かったのは経済詐欺です。
印章の偽造や高額な商品の偽造販売は珍しくなく、いずれも極刑に処されるケースでした。
詐欺→死罪または入墨
文書・貨幣の偽造→引き回しのうえ獄門
印章偽造→引き回しのうえ獄門
偽薬販売→引き回しのうえ死罪
性犯罪
江戸時代は不義密通、つまり不倫は性犯罪とみなされました。
強姦よりも重い罪が課せられました。
また和姦であっても、相手の女性が誰かによって刑罰が異なりました。
主人の妻との姦通→獄門
夫がいる女との姦通→死罪
主人の娘と和姦→追放
強姦→重追放もしくは手鎖
※手鎖 (てじょう)は、江戸時代の刑罰。
前に組んだ両手に瓢箪型の鉄製手錠をかけ、一定期間自宅で謹慎させる。
主に牢に収容する程ではない軽微な犯罪や未決囚に対して行われた。
戯作者の山東京伝が1791年に、浮世絵師の喜多川歌麿が1804年にそれぞれ五十日手鎖の刑を受けたことで有名。
※ 重追放とは江戸幕府の追放刑の一種。
「公事方御定書」によれば,その立入禁止区域の御構(おかまい)場所は,武蔵・相模・上野・下野・安房・上総・下総・常陸・山城・摂津・和泉・大和・肥前・東海道筋・木曾路筋・甲斐・駿河および犯罪者の居住国と犯罪を犯した国とされた。
また闕所(けっしょ:財産を没収する罰)が付加され,田畑・家屋敷・家財が没収された。
僧侶の姦通→獄門
つづく