前回の続きです。
社会福祉協議会としてどのくらい訪問介護事業所が減ったのでしょうか?
5年間に少なくとも218カ所が廃止や休止となっていたことが明らかになりました。
新設分を差し引いた減少数は203カ所。
2018年には全国で1505カ所ありましたが、23年では1302カ所で、13・5%も減っていたのです。
減少率が最も高いのは鳥取県で、53・3%。大分県が38・5%、千葉県が30・4%などとなっています。
その通知は突然やってきます。
Aさん(66)は2014年に仕事中のけがで重い障害を負い、市社協が介護保険と共に実施していた障害福祉サービスで居宅介護を受けてきました。
「まさか、あんなにばっさりサービスを切るとは…。本当に立ち往生しました」と語ります。
市社協から「事業の廃止が決まった」と聞かされたのは19年9月のこと。
「サービス提供は12月でやめ、20年3月末に廃止する」と、他の民間事業所や近隣の社協への切り替えを打診されました。
Aさんは「一方的であまりに唐突だ」と、約900人の署名を集め、事業の継続を求める請願を市議会に提出します。
採択されたものの、最終的に市社協は20年3月末に事業をやめてしまいました。
廃止の理由は、訪問介護が年間1千万円以上の赤字だったからでした。
市社協の事務局長は「廃止が唐突だったとは思っていない」と話します。
「ほかにも民間の事業所があり、約30人いた利用者は引き継いだ。社協にセーフティーネットの役割があるのはその通りだが、であれば、行政が補助金を出すなどして支えるべきだ」とも。
ただ、Aさんは条件の合う引き受け手が見つからず、一時期は「介護難民」の状態になってしまったのです。
「入浴はシャワーで体を洗い流すことしかできなかった」・・・今も納得できない気持ちが残っていると話しています。
訪問介護が受けられなくなって、施設に入った人もいます。
家で暮らしていれば、近所の人とあいさつしたり、地元の人が訪問したりすることもできます。
そういう暮らしや人間関係が失われしまうのです。
つづく