大変なニュースが流れてきました。
なんと、訪問介護事業所が減っているのです。
「年を取って介護が必要な状態になっても自宅で暮らしたい」と思った場合、頼りになるのが介護保険の訪問介護です。
既に皆さんもご存知の通り、というか実際利用されてる方もいるかと思いますが、ヘルパーさんが家に来て、家事をしてくれたり食事や入浴の介助をしてくれたりしています。
地方の町村部でその大きな担い手になっているのが「社会福祉協議会」(社協)という公的な役割を持つ団体です。
ところが、ここ数年、全国各地でこの社協が訪問介護の事業をやめる例が相次いでいるのです。
「ヘルパーさんを派遣してくれるところがないから、家で暮らせない!」
そんな事態が静かに進んでいたのです。
「社協」と聞いてもなかなかなじみのない方も多いかと思います。
民間の介護・福祉サービスが多くある大都市圏では、存在感がそこまで強くないですが、地方では住民生活に大きな役割を果たしています。
社会福祉法という法律に基づき設置されている団体で、47都道府県と1741市区町村全てにあります。
この数字だけを見ても、生活に密着した団体であるということがわかると思います。
介護や障害福祉サービス、子育て支援のほか、赤い羽根で知られる共同募金運動への協力といった事業を実施しています。
住民や企業から集めた会費、自治体からの事業委託費や補助金などで運営していて、災害時のボランティアセンター開設、生活困窮者らへの資金貸し付けも行っています。
ざっくり言えば「全国津々浦々で困っている人を助けるセーフティーネット的な団体」と言えるでしょう。
自治体から職員が出向したり、退職後に再就職したりするなど行政との結び付きも強いものがあります。
多くの社協は介護保険事業もやっていますが、近年、訪問介護をやめる例が続出していると言うのです。
都市部で一般の民間事業者との競合を理由に撤退するケースももちろんありますが、多くはヘルパーさんの高齢化や人手不足、事業の収支悪化などが要因です。
地方では高齢者の人口も減っているため、利用者も減少傾向にあります。
訪問先への移動距離が長く、事業の効率化が難しいといった事情もあり「訪問介護は赤字」という社協は多いようです。
都道府県が持っている介護保険の事業所データから社協の訪問介護を抽出して調べられます。
過去5年間の変化を見るため、2018年と23年(一部は期間が異なる)を比べてみました。
つづく