昨日の続きです。
幼い子を失った親の悲しみは、想像を絶するものがあります。
その子たちの死因を医学的に解明する事は、「自分の責任だ」と苦しみを背負う親にとっては、少しでもその負担を軽くすることに役立っていることが明らかになってきました。
それでも一般的なCTスキャンやMRIでは、非常に小さな赤ちゃんの体内で起きたことを完全に捉えられる詳細な画像は撮影できません。
この問題を解決するために、研究チームはほかに先駆けて、マイクロフォーカスコンピューター断層撮影(マイクロCT)という新しい画像診断技術を幼い子どもに用いています。
マイクロCTは、高い解像度で3次元の対象物の撮影が可能になっています。
つまり、研究チームは侵襲的な死体解剖の場合とほぼ同じ精度で小さな赤ちゃんを検査できるようになったのです。
必要に応じて、細いチューブの先に装着したカメラで病理医が体内を観察するキーホール手術(体に小さな穴を空けて施術する方法)による死体の解剖も可能になりました。
アーサーズ医師のチームは、1,700組を超える家族を2012年から支援して、年間に最多で300件の非侵襲的な解剖を実施しています。
そして体に大きな傷を付けない死体解剖は、子どもを亡くした親に以前より受け入れられています。
とはいえ、この技術にも限界があります。
例えば、感染症が死因だった場合は原因を発見できませんし、また、この検査方法はどこでも提供されているわけではありません。
非常に高度な技術と、特殊な医療機器が必要ですし、何より、患者の家族等からの医療チームへの信頼が育っていなければなりません。
また、こうした手段が提供されていたとしても、胎児死亡の約3分の1はいまだに死因不明になる場合が多いと言われています。
これは私の知人の成人男性の例ですが、かなり重篤な心臓疾患を患っていました。
都内のある有名な病院に入院することになりました。
そして手術となるのですが、術式等の説明を受ける際に、3Dで映像化された自分の心臓を見せられました。
上下、左右すべての方角から、自分の心臓を眺めることができ、その心臓をあたかも手術をするように開いてきながら、患部に適切な処置を施す経過を目の当たりにすることができたといいます。
まだまだ一般的な病院まで普及していない技術ですが、このような技術が医療の発展に寄与する事は間違いないと思われます。
つづく