話が横道にそれてしまいました。
この寿命と体重の関係に目をつけたのが、ノルウェー出身の動物生理学者シュミット・ニールセンです。
代謝速度と生理的時間という考えが出てきました。
例えば世界一小さい哺乳類チビトガリネズミは体重2グラムで心拍数は毎分1000回。
それに対してヒトの体重は約60キログラムで、心拍数は1分間に約60回〜70回。
ゾウの場合は体重3トン心拍数は毎分20回、というように調査を進めていったのです。
その結果、動物の酸素消費量と体重は見事に直線関係があることが発見されました。
調査の結果、体重が重くなるにつれて大体体重の4分の1 (0.25)乘に反比例して代謝速度が遅くなっていることがとき明かされました。
もちろん体の大きい動物ほど代謝量は大きいです。
しかし、体重が10倍重いからといって、代謝量も10倍になるわけでありません。
1960年代のアメリカで、動物園のゾウに薬を飲ませることになりました。
だが、どのくらいの量を飲ませたらよいのかわかりませんでした。
その薬を、サルやネコに飲ませる量はわかっていました。
そこで、体重(ゾウは3トンだった)に比例させた量をゾウに飲ませたところ、可哀想なことに、そのゾウは、2時間も経たずに死んでしまったといいます。
この事例は代謝量と体重との関係をよく表しています。
別の言い方をすれば、生理的時間は体重の0.25乘に比例するということです。
例えば体重が2倍になると、時間は少しゆっくり流れて1.2倍になる。
体重がもう少し増えて10倍になると時間はもう少しゆっくり流れて1.8倍になる。
30グラムのハツカネズミと3トンのゾウでは体重が10万倍違うから、ゾウはハツカネズミに比べて時間が18番ゆっくり流れることになります。
つまり体のサイズの大きい動物ほど、呼吸数も心拍数もゆっくりになっているのです。
このようにそれぞれの動物にはそれぞれの「生理的時間」が流れているのです。
しかし先ほども述べましたが、普通ヒトは生物学的に持っている「生理的時間」を大幅に超えて生きます。
食事や生活環境の改善・医学の発達などが大きな原因と考えられます。
しかしそうは言っても150歳や200歳まで生きられる事は無いのです。
ヒトの死亡率は間違いなく100%です。
ある学者は「40歳を超えたらおまけの時間」と考えて、思い切って「お得感」を感じながら楽しく生きていくのもありと話しています。
明石家さんまの歌じゃありませんが
「そうさ!人生いきているだけでまるもうけ!OH!」
という事かもしれませんね。