防衛省によると、31日午後5時半ごろ、石川県にある航空自衛隊小松基地のF15戦闘機1機が基地を離陸した後、レーダーから機影が消えました。
機影が消えたのは、小松基地から西北西に約5キロ離れた日本海上。
その後の捜索で機体の一部が海上で見つかり、墜落の可能性が大きいとみられています。
事故機に搭乗していたのは飛行教導群司令の田中公司1等空佐(52)と植田竜生1等空尉(33)。
飛行教導群は精鋭部隊として知られ、田中1佐は曲技飛行チーム「ブルーインパルス」の隊長を務めた経験もあるベテランパイロットです。
総飛行時間は田中1佐が2800時間、植田1尉は1900時間と十分な経験があり、当時は田中1佐が前席に座っていた。
とのことです。
最近中国の尖閣諸島周辺への進出が問題となっています。
特に航空機や戦闘機に対しては自衛隊那覇基地の航空自衛隊がスクランブルを行っています。
私も那覇空港には何回か行ったことがありますが、おそらくスクランブルに飛び立つと思われるF15を見たことがあります。
他の旅客機の移動速度と比べ明らかに緊迫した行動だったからです。
彼らは休日や深夜を問わず下令されればそれこそ命がけでスクランブルに飛び立って行きます。
普通の人ならGスーツと呼ばれる意識を失わないために血流を上半身にあげる特殊な服を装着しなければなりません。
下半身から腹部にかけて、それこそ中世のヨーロッパのコルセットのような装備となっています。
スクランブルがかかれば、ヘリコプター部隊も待機します。いわゆる救難機です。
もし戦闘機のパイロットが海または陸に落下した時、真っ先に拾い上げに飛び立つのです。
E2C (早期警戒機)も同時にスクランブル体制に入ります。
F15戦闘機は高度50,000フィートおよそ15,000メートルまで飛行できます。
40,000フィートを超えると地球が丸く見えるといいます。
この辺まで上昇すると飛行機雲が出るようになります。
この飛行機雲ですが、戦闘機にとっては飛行機雲を出すことが弱点になることもあります。
それは敵機に見つかりやすいということですが、逆に囮として使えるということもあるそうです。
戦闘機パイロットは必ず対G訓練を行います。
激しい機体の動きの際に大きな重力加速度(G)がかかります。
この訓練は日々欠かせないものです。
この際パイロットはお腹に力を入れて血圧を上げておく必要がありますが、訓練のおかげで自然にできるようになるそうです。
重力がかかって息がしにくくなる場合、短く吐き出すように呼吸をつないでいきます。
音速では体重の7.5倍の重力を体験することになります。
事前に訓練を受けた報道記者でも4G段階で自分の意識を保つのがやっとだといいます。
次にドッグファイト(空中戦闘訓練)も欠かせない訓練です。
仮想敵のF15を追いかけて1対1の空中戦や、様々な想定をした集団での訓練もあるようです。
「飛行教導群」のパイロットは指導者として「仮想敵機」の役割を果たすといいます。
それだけに特別に十分な経験を積んだパイロットだけで構成されています。
連日の訓練は約1時間だそうです。
防衛省によれば、去年4月から12月末までに領空侵犯の恐れのある航空機に対し、航空自衛隊が緊急発進(スクランブル)をした回数は785回となっています。
この間、ロシアの航空機が2回、また、中国の航空機が1回、実際に領空侵犯をしたことが確認されています。
国別で見れば中国機に対する発進が全体の約7割にあたる571回で、前年1年間での回数を100回以上も上回っています。
今、中国やロシア・北朝鮮などが近隣諸国に向け様々な危険な行動を起こしています。
そんな中で危険と向き合いながら、24時間わが国の最前線で領海・領空を守ってくれている人たちがいることを忘れてはいけないと思います。