hayatouriの日記

はやとうり の独り言

南海トラフ大地震に備えよう!

今年京都大学を去られた火山研究者の 鎌田 浩毅 さん(人間・環境学研究科 教授)は積極的にマスコミにも出られています。


なぜなら、地震や火山の研究を通じて知ったことを人々の命を守るために普及させていきたいと思ったのがきっかけだそうです。


先生の最終講義の中で用いられたテキストの1部を引用させていただきます。

 


鎌田先生は南海トラフ地震の発生を2035年± 5年と予想しています。

 

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その規模は東日本大震災の10倍となり、社会経済活動の壊滅的な破壊も起こるかもしれません。


押し寄せてくる津波の高さは

 

静岡県で33メートル

和歌山県で約20メートル
高知県で34メートル

 

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しかも東日本大震災の時は津波到着まで約1時間ありましたが、南海トラフ地震に関しては約2分から3分で津波が到着するとされています。


東日本大震災以来、日本列島は揺り戻しで約5メートルアメリカ側に寄ったそうです。


それぐらい相当なエネルギーが日本列島にかかり、その勢いで断層活動や火山活動も活発化しました。


日本にある活火山111ヶ所のうち20カ所が動きが活発化しスタンバイ状態にあると言われ、その一つに富士山が含まれています。


以下その抜粋部分ですが大変貴重かつ私たちにとっては命を守るべき指摘もずいぶんされています。


ぜひいちどお読みください。
 
なお鎌田先生の最終講義はこのYouTubeで見ることができますので貼り付けておきます。

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また講義の中で使われる資料はここから見ることができますので、資料を見ながらご覧いただくとなお一層理解が深まると思います。

 

講義資料はここ

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ここから引用です。

 


日本列島は10 年前に起きた東日本大震災以来、地震と噴火が頻発する「大地変動の時代」に突入した。
 
中でも2030 年代に起きる「南海トラフ巨大地震」が喫緊の課題で、九州から関東までの広い範囲に震度7 の大揺れと巨大津波が襲ってくる。


国の想定では犠牲者の総数は32 万人を超え、全人口の半数に当たる6000 万人が被災するのだ。


太平洋ベルト地帯を直撃することは確実で、被災地域が産業経済の中心であることを考えると東日本大震災よりも一桁大きい「激甚災害」となる。


また、経済被害は220 兆円を超えると試算され、東日本大震災の被害20 兆円の10 倍以上になることは必定だ。
 
これは1 年間の全租税収入の4 倍を超えるとんでもない額でもある。


一方、伝えられた被害想定が日常からかけ離れて大きいので、多くの国民は具体的なイメージすらできない。


たとえば、最大高34 メートルの津波が2 ~ 3 分で襲ってくると言われても、どうしてよいか見当も付かないのである。


残念なことに、南海トラフ巨大地震の発生する「日時」を正確に予知することは、最先端の地球科学でもまったく不可能だ。


そこで政府の中央防災会議は地震の発生確率を公表し、30 年以内に発生する確率を「70 ~ 80%」とした。


実は、この伝え方に大きな問題がある。


というのは、地震発生確率で示したのでは緊急性が伝わらないからだ。


一般市民だけでなく地球科学の専門家にとっても身近でないため、準備が困難である。


そこで私はあることに気がついた。


実際の社会では「納期」と「納品量」で仕事が進む。
 
つまり、いつまでに(納期)、何個を用意(納品量)という表現で言われなければ、誰も主体的に動けないのではないか。


そのため、私は2 項目に絞って伝えることにした。


南海トラフ巨大地震は約15 年後に襲ってくる(2035 年± 5 年)、
②その災害規模は東日本大震災より一桁大きい。一方、もし人々が自発的に避難すれば津波の犠牲者を最大8 割まで減らすことが可能で、さらに建物の耐震化率を引き上げれば全壊も4 割まで減らせる試算がある。


東日本大震災で問題となった「想定外」をなくすには、こうした情報が「常識」にならなければならない。


まさに英国の哲学者フランシス・ベーコンが説くように「知識は力なり」。私が講義で学生たちに真っ先に伝えたいコンテンツでもある。


こうして私は「科学の伝道師」を標榜し、「自分の身は自分で守る」際に必要な情報を学生と市民へ伝えることを本務に加えた。


ハンディな新書版で地震火山の啓発書を書き、赤い革ジャン(マグマの赤)を着ながらテレビ・ラジオ・ネットで何がポイントかを分かりやすく語ることにした。


加えて日本が直面する課題には、首都直下地震と富士山噴火の二つがある。


近著の『首都直下震と南海トラフ』(MdN 新書、2021 年)と『富士火山噴火と南海トラフ』(ブルーバックス、2019 年)では、初心者にも最後まで読めるように腐心した。


その富士山は前回の1707 年、南海トラフ巨大地震(宝永地震)に誘発されて49 日後に大噴火した(宝永噴火)。


こうした災害予測研究とアウトリーチ(啓発・教育活動)は、4 月着任の京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授でも続行しい。


人環という素晴らしい環境で24 年間ノビノビと仕事をさせていただき、本当にありがとうござ
いました。これからもよろしくお願いいたします。