昨日の続きです。
話は変わりますが、つい最近起こったその一例をご紹介します。
5万人以上の死者を出す甚大な被害が出ているトルコ・シリア大地震。
プロサッカーチームのガーナ人選手のクリスティアン・アツも瓦礫の下敷きになり命を落としました。
そうしたなか、アヤックスのガーナ代表MFモハメド・クデュスのゴールセレブレーションが話題になっています。
この2月20日に行われたスパルタ戦でゴールを決めると、ユニフォームをまくり、「RIP ATSU(安らかに眠ってください)」と哀悼のメッセージを見せたのです。
得点後に「ユニフォームを脱ぐ、頭に被る」行為はイエローカードの対象とルールに明記されています。
しかし、主審はカードを提示しませんでした。
4-0で勝利した試合後、クデュスはこう話しています。
(以下引用)
「僕らはサッカー選手だけど、これはサッカーを超えたもの。
生と死にかかわること。
レフェリーにはダメだよと言われたけど、彼は理解してくれた。
これはサッカーよりも重要なこと。
彼は僕にそう言ったんだ。
レフェリーが状況を理解してくれたことに敬意を表するよ。
起きたことは誰もが知っている。
アツは僕にとって身近な存在だが、このジェスチャーは地震で被害を受けた全ての人達へのものでもある。
彼と一緒にプレーしたことはないんだ。
でも、彼はテクニカルな選手で、僕が学ぶべき多くの資質を持っていた。
何度かアドバイスもしてくれたよ。
悲しい話だし、複雑な思いでここに立っている。
今日は彼のためにプレーしたんだ。
たとえゴールしなかったとしても、試合後にユニフォームを脱いで、彼の遺族やトルコとシリアで被災した人たちに応援と哀悼の意を伝えたはずさ。」
主審はルール違反としつつ、状況を理解してくれたそうでカードは出さなかったようです。
サッカーのルールブックであるべき主審が「これはサッカーよりも重要なこと」とルール違反を犯した選手に言い切る人間性と判断がとても素敵じゃないですか。
今回は「道徳」について考えてみました。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。