昨日の続きです。
これら2つの実話は、「規則の遵守」という徳目に反する事実です。
いずれにせよ議論は「叱る派」と「褒める派」に分かれます。
多くの場合「褒める派」が多数派になります。
それでも、少数派の「どんな場合でも決まりを守ることは大切だ」という主張は、なかなか覆りません。
そこで議論の後に事実を紹介します。
2つの話、その後の事実とは
東京ディズニーランドの場合
さて、そのあとアルバイトの青年はどうなったと思いますか?
実は上司や先輩から叱られるどころか、褒められたのです。
「この場合の規則=マニュアルは基本でしかなく、マニュアルを超えるところに感動が潜んでいる」と考えられているからだそうです。
この後、若い夫婦から手紙が届きます。
「お子様ランチを食べながら涙が止まりませんでした。
まるで娘が生きているかのように家族の団欒を味わいました。
こんな娘との家族団欒を東京ディズニーランドでさせていただくとは、夢にも思いませんでした。
これから二人で涙を拭いて生きていきます。
また二周忌、三周忌に娘を連れてディズニーランドへ必ず行きます。
そして私たちは話し合いました。今度はこの子の妹か弟かを連れて、きっと遊びに行きます」
路線バスの場合
この事実は、地元の新聞に取り上げられて大きな反響を呼びました。
バス会社には加藤さんの行いを賞讃する電話が相次いだそうです。
また暫くして、あの怪我をした女性は、歩道橋から身を投げて自殺を図ったものと判明したのですが、その女性が後日、元気に退院して加藤さんのところへお礼を言いに来たそうです。
「馬鹿なことをして申し訳ありませんでした」と、深々と頭を下げたそうです。
この状況を見て、当然会社は加藤さんのルール違反を罰することはしませんでした。
そればかりか加藤さんは、社会に感動を与えた人を顕彰する「シチズン オブ ザ イヤー」を受賞したのです。
ここまで紹介した後に教師たちは子供たちに問います。
「規則を守ることは大切」ですか?
この時点でなら、子供たちは
「規則を守ることは基本的には大切です。
しかし、結果的に人の命を守ったり、人の心を大切にしたりすることにつながる場合には、規則を破ることもあり得るのだ。」
という考えに至るはずですね。
つまり「規則を守ることを超えるものが存在する」ことに気付くはずです。
このように、道徳教育という難しい課題にに真正面から取り組む教師たちがいるのです。
「〇〇してはいけない」
「〇〇しなければならない」
ということを上から教師が教え込むのが道徳教育ではない、ということがよくわかると思います。
つづく