昨日の続きです。
5類移行後も医療機関には様々な課題が出てきます。
5類移行後には診療報酬の特例加算などが大幅に削減されます。
例えば、現制度では外来でコロナ疑いの患者を診た場合、初診料に5500円(2月時点)が上乗せされました。
それが最大3千円に削減されます。
入院では重症患者を受け入れると通常より1日最大32万6340円が上乗せされました。
重症度が比較的低いオミクロン株で必要な対応が変わってきたため、1日最大8万1570円に減ります。
コロナ患者にベッドを空けておくための「病床確保料」も、1床ごとに1日最大43万6千円だったが、最大21万8千円に引き下げます。
この間、財務省は厚労省に対し、医療機関への支援をできるだけ減らすよう求めてきました。
このことに関して言えば、当初、どのような感染力を持ったウィルスなのか、わからない中で厚生労働省の行った対策は致し方がないというような見解もあります。
一方、このような対策や支援額そのものが適正だったのかという検証は未だされていません。
支援によって病院経営が劇的に改善した実態も明らかになってきています。
ある地方都市の総合クリニックの話です。
繁忙期を除き、毎月700万~800万円の赤字を抱えていました。
ところが、新型コロナが拡大した2020年1月~22年9月末は大幅な黒字に転換したのです。
経営改善を支えた要因の一つが、ワクチン接種業務でした。
このクリニックでは当初、接種業務を「割に合わない」と判断し、地元の開業医らに任せる考えでした。
しかし、接種回数が多い医療機関に国や自治体が補助を加算する特例的な支援を導入すると、力を入れて取り組む方針に転換します。
別の補助が加算される夜間や休日も、積極的に接種を受け付けました。
クリニックでは22年9月末までに計約6500人に接種し、収入はワクチン接種の特例加算と、接種に関係する頭痛や発熱などの診療報酬で計1億8000万円になりました。
接種による特例加算の効果が大きく、多い月で約1500万円の黒字を計上するまでに。
経営が安定した結果、数千万円のがん検査機器も購入できたといいます。
一方、財務省の立場からすれば、できるだけ無駄な出費は減らしたいとするのも当然でしょう。
コロナ禍の3年間、莫大(ばくだい)な税金や保険料が投じられてきました。
つづく