hayatouriの日記

はやとうり の独り言

「海洋放出が始まった処理水」 その3

 

昨日の続きです。

 

昨日の話ですが、今韓国政府が「汚染水」という呼び方を変えようとの方針だそうです。

 

例えば「処理された汚染水」というような表現を考えているようですが、私は「それならば、汚染水じゃないのか?」という感想です。

 

さて、話をもとに戻します。

 

世界の原発の排水と福島東電原発事故の排水は全く違うものです。

 

原子力発電所の基本的な構造です。

 

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この図は東京電力によるものです。

 

原子炉の真ん中に燃料棒と制御棒があります。

 

水を入れてここで核分裂反応を起こしてお湯を沸かします。

 

このお湯からできた蒸気をタービンに送ってタービンを回して発電するというのが世界の原発の仕組みです。

 

福島第一原発以外の事故を起こしていない原発では、この冷却水が一度蒸気になって出てきたものを、もう一回元に戻すという密閉したループを作っているのです。

 

ですから燃料棒に触れた水はこの密閉されたループの中をぐるぐる回るだけです。

 

絶対に外に出ません !

出してもいけません!

 

 

それでは、何故世界の原発が排水する必要があるのかと言いますと、この一旦グラグラと煮た原子炉を出た蒸気は高温になってます。

 

これは圧力をかけてますので大体300度位になっているといいます。

 

300度ですよ!

 

これを冷却するのに、海からまたは川・湖から引き込んだ水を使っているのです。

 

これを熱交換といいます

 

日本で三菱重工が熱交換器というものを製造しています。

 

この海なり川から取水した放射能を帯びていない水に熱だけを移してそれを海や川なり排水します。

 

これを温排水いいます。

 

日本では温排水の温度基準というのは海の温度の+6°となっています。

 

ですから普通事故を起こしていない健全な原発では、燃料棒に触れた(核物質に触れた)水は閉じられたループの中ぐるぐる回っていてそれが外洋に捨てられることはないのです。

 

このサイクルの中で「トリチウム」が生まれるはずはないと・・・しかし実は原子炉から出る放射線により、冷却水のごく一部がトリチウムに変化します。

 

このように、普通の原発は核燃料に触れた水を環境に排出したり捨てたりは絶対しません。

 

そんなことしたら放射性物質が環境に放たれて川や海を汚染する大問題になるでしょう。

 

ここで現在の福島第一、第二、第三原発の様子を見てみましょう。

 

この図はいずれも東京電力によるものです。

 

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それぞれ、核燃料棒が圧力容器から溶け落ちデブリとなって格納容器に溜まっています。

 

では、汚染水はなぜ増え続けるのでしょうか?

 

東京電力の説明によればこうなっています。

 

「炉を冷やすために注入した水や、破損した建屋から入る雨水、山側から海側に流れている地下水が、原子炉建屋等に流れ込み、溶融した燃料に直接触れたり、原子炉建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることなどで汚染水となります。」

 

要は、汚染水を生み出さないためにはデブリを取り出し、処分する以外ないのです。 

 

このデブリがある限り冷却し続けなければなりませんし、汚染水は出続けるのです。

 

つづく