昨日の続きです。
トリチウム以外の「核種」は力が弱いので、処理を考えなくても良いと言う立場に東京電力と政府は立っています。
ところが「処理水」については東京電力が資料公開しております。
アルプス処理施設出口における放射線核種の残留濃度というのでちゃんとグラフにして公開しています。
この資料によってもトリチウムだけ残留しているわけではありません。
注目すべきは、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留していることです。
残留しているのは、ヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106、テクネチウム99、セシウム137、プルトニウム239、炭素14、カドミウム113mなどです。
当初、東京電力は、ALPSを通すことにより、トリチウム以外の放射性物質は除去できており、基準を満たしていると説明していました。
2018年8月に開かれた説明公聴会の資料では、基準を満たしているデータのみが示されていました。
ところが、共同通信をはじめとしたメディアの報道により、トリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留していることが明らかになりました。
その後の東電の発表により、現在タンクにためられている水の7割弱で、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍近くとなっていることが明らかになりました。
東電は海洋放出する前に二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしています。
しかし、海に放出される「微量」と呼ばれる核種には、放射性物質の力が半減するまでに1,000万年を超えるような核種も含まれているのです。
つまり海の中でその核種は、ほぼ永久的に放射性物質の力が消えないことを表しているのです。
しかも重大なのは、タンクに残留するこれらの放射性物質の総量が示されていないことです。
通常、汚染物質などを自然界に放出する場合、必ず総量規制がとられています。
薄めればどれだけでも放出できるというのであれば無制限と同じことです。
また、二次処理した結果どのくらい残留するかもわかっていません。
全体の水の量が膨大であるため、濃度を下げたとしても放出される放射性物質の量は大きいものになるはずです。
何がどのくらい放出されるのかという基本的な情報が明らかにされていないのです。
ですから「トリチウムしか残ってない」という設定はそもそも無理があるのです。
さらに呆れたことに経済産業省はトリチウムの排出ならば世界中の原発が海に捨てているということで資料を出しています。
それを鬼の首を取ったように、声高に叫ぶ人たちもいます。
「トリチウムしか残ってない水だったら世界中の原発が海に捨てている」と。
(トリチウムならば安全なのか?この疑問には後ほど触れてみたいと思います)
そして中国の方がたくさん捨てているとも。
果たしてそれが物事の本質なのでしょうか?
日本が海に排出している汚染水は、世界中のどこの原発とも違う大変危険な状態になっているのです。
つづく