前回の続きです。
消費税が還付されるシステムについて前回書いてみました。
国民や多くの中小事業者が物価高騰や消費税、インボイス(適格請求書)を押し付けられて新たな負担に苦しんでいます。
このような中で元静岡大学教授の湖東京至税理士が、202 3年4月から2 4年3月期の決算に基づいて、各企業の輸出割合などを推計しました。
個人への消費税還付があるように、輸出大企業にも還付金が振り込まれているのです。
還付金上位20社では、1位のトヨタ自動車を始め、本田技研工業(2位)、日産自動車(3位)、マツダ(4位)、三菱自動車(5位)とトップファイブを大手自動車メーカーが独占しています。
SUBARU(7位)など、円安で23年の自動車輸出を前年比16 %増と、大幅に増やした恩恵を受けました。
また、武器輸出を進めている三菱重工業(14位)も含まれています。
国全体の還付金の合計額は、なんと7兆9 3 7億円(22年度)にもなっているのです。
その結果、事業者が収めた消費税額20兆2006億円の35.1%が、輸出大企業などに還付されているのです。
輸出還付金は、各地の税務署の収支に影響を与えています。
各国税局が発表する税務署ごとの統計から、輸出大企業への還付金で、消費税がマイナス(=赤字)となっていた税務署が全国に18あることがわかりました。
上の写真のように、赤字第1位(22年4月から23年3月期)の愛知・トヨタ税務署では、豊田やその他の輸出企業に還付された金額から、同税務署管内で中小事業者らが収めた消費税額(約690億円)を差し引いた赤字は5075億円となりました。
還付金額5765億円の9割をトヨタへの還付金と推計すると5188億円となります。
湖東氏が昨年、推計した22年4月から23年3月期のトヨタ1社への還付金額5276億円とほぼ一致します。
この還付金の理屈は、先に紹介した例と同様に、外国で車などを販売した場合、日本の消費税法に基づいた処理ができないため、販売する商品の価格に転嫁できません。
そのために、車両製造等の際に支払った消費税を日本国内の消費税から、輸出企業に還付されるという理屈です。
インターネット上等では「消費税は『預かり金』で、輸出企業は、外国の取引先から消費税を『預かれない』のだから、仕入れにかかった消費税の還付は当然。
キャッシュフローはプラスマイナスゼロで儲けはないと言うような主張がよく見られます。
果たして、この考えは正しいのでしょうか?
次回はこれを考えてみたいと思います。
つづく