前回の続きです。
正直、取り上げるのもうんざりするほど、来年から増税が始まります。
最近は、岸田首相にも「増税メガネ」とあだ名がつくようになりました。
昨日今日あたりになって、急に所得税減税を打ち出すようなそぶりを見せていますが、おそらく焼け石に水となってしまいそうな感じです。
そもそもなぜ日本経済がこの30年間ほとんど成長しなかったのかという根本問題を解決しなければならないでしょう。
様々な意見があります。
日本企業がイノベーションを怠ったからだとか、終身雇用と年功序列が時代に合わなくなったからだとか、企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだからだなどといろいろな意見があります。
今までの議論の中で明らかになったように、日本経済が成長でき、なくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまった」というのが正解でしょう。
私たちの懐が寂しくなれば、当然使えるお金も減ってきます。
消費の力が落ちれば企業の売り上げが減ってしまいます。
そのために企業は人件費を削減せざるをえなくなってしまいます。
まさに負のスパイラルが続いてきたわけです。
ところが大企業の経営者たちが集まった経団連はこれは2012年5月15日にこのような提案をしています。
『成長戦略の実行と財政再建の断行を求める~現下の危機からの脱却を目指して~』に《消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げ、その後、2017~2025年度の間、税率を毎年1%ずつ引き上げ、最終的に19%とする》」
これからまだまだ消費増税をしていけ!という提言なのです。
日本の裕福層がどうしてこのような提言をするのか考えてみたいと思います。
「消費税には逆進性がある」とよく言われます。
収入に対する消費税負担が低所得者ほど大きいからです。
例えば、月収1000万円の裕福層は収入の半分位しか消費しないでしょうから、消費額は500万円となります。
消費税負担は税率10%として50万円を負担することになります。
収入に対する消費税の比率は5%です。
一方、月収10万円の庶民は、収入の8割を消費にまわしますから、消費額は8万円となります。
消費税の支払いは8000円で収入に対する消費税の比率は8%になります。
このように、収入に対する消費税の負担は、庶民の方が高くなっているのです。
これが消費税の「逆進性」と呼ばれるものです
つづく